第十巻では――
「深山隠れ」「愛宕山」など、
上方落語の逸品、珍品を織り交ぜた
珠玉の高座、十五席を再現している。
“芸能博士”と呼ばれた桂米朝師(人間国宝)の系譜を継がんとする著者は、大師匠と同様に、落語に関係する史料・文献を収集しまくる稀代のコレクターでもあります。
現代では忘れられた噺を古文献から掘りおこし復元することに取り組んでおり、噺家生活四十五年で上演した噺は七百以上を数えます。
この全集では、そうした噺の中から厳選したネタを、本人の解説付きで紹介し、収集した貴重な演芸資料も数多く掲載しています。
寄席の歴史や芸能本の出版事情、速記本の世界など縦横無尽の解説が秀逸で、再現された噺に厚みと奥行きをもたらしており、聴いて楽しむ落語の世界とは、ひと味もふた味もちがった充実感を得られるでしょう。
第十巻に収録されているのは、
電車の中では絶対に読まない方がいい。
笑い過ぎ、周囲の乗客から睨まれてしまった。
――江上 剛(作家、『失格社員』著)
解説のところがめちゃくちゃおもしろくて、
一字一句読み逃してはならんと、虫メガネを引っぱり出して、
解説の資料の中の小さな写真や文字を読み始めていた。
――増田 喜昭(子どもの本専門店 メリーゴーランド店主)
たくさんの珍品を復活させておられ、
聴いたことのない落語を聴ける喜びを
たっぷりと味わわせてもらった。
――頭木 弘樹(文学紹介者、『絶望名人カフカの人生論』編訳)
文我師匠が演じられた数々の芝居噺に人情噺。
今思い返しても鳥肌の立つような高座ばかりでした。
あー面白い!
――小野 裕司(「玉造・猫間川寄席」席亭)
文字と声が備わり、参考資料満載のこの全集は、
これからの研究の得難いテキスト、
いやカノンの一つとして、尊重されるであろう。
――吉田 悦之(本居宣長記念館名誉館長)
『桂文我 上方落語全集』(寄稿文)より抜粋
(桂文我 上方落語全集シリーズ)
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