「商品取引」は、トウモロコシや大豆などの農産物や、金や銀などの貴金属、原油やゴムなどの工業品の取引のこと。「先物取引」では、それらの商品を前もって決めた価格で、期日までのあいだに取引することができる。 商品先物取引は、大阪の堂島米会所が発祥とも言われているくらい、日本とは関わりの深い取引だ。
現在、株式やFX(外国為替証拠金取引)に投資する個人は増加の一途をたどっている。低金利が続き、終身雇用は過去の話となり、社会保障制度にも不安が残るいま、将来のために投資を考える人が増えるのは当然の流れといえる。 だが、次々と新しい投資対象が登場するなかで、伝統的な市場である「商品先物」のイメージはけっして良いとはいえない。投資家人口は増加しているにも関わらず「商品先物取引」のイメージが良くないのはなぜだろうか。 その理由は大きく2つある。ひとつは、悪質な業者によって業界全体の信用が低下してしまったこと。もうひとつは、先物の利点と危険性を正しく理解しないまま取引に失敗し、巨額の損失を出してしまった個人投資家が多いことだ。それらが「大損する」「危ない」「騙される」……など、商品先物のよくないイメージを定着させるきっかけとなった。
個人投資家でも商品先物に良いイメージがなく「株の長期投資なら安全」と思っている人は多いかもしれない。だが、株式投資でもきちんと損切りをしない場合は損をしていることに変わりはない。むしろ、投資の鉄則である「損小利大」をしっかりと実行して利益を出しているならば、商品先物でも同じように利益を出せる可能性が高い。 また、将来のことを考えて投資をしたくても、若いうちは資金がない。そもそも、若いうちには定年後のことなど考えない。働き続けてやっと資金ができたころに投資を始めても、長期的な値上がり益を得るだけでは不十分な場合も多いのだ。
そのなかで、少ない資金から始めることができ、「レバレッジ取引」が可能な商品先物取引は、目標達成のための現実的な選択肢のひとつといえる。「レバレッジ」を使えば、少ない金額で大きな金額を動かすことができ、資金効率が格段によくなる。これがハイリスクハイリターンのゆえんとなるものだが、その特性をきちんと理解し、リスク管理と資金管理を徹底すれば、非常に強力な武器となる。 ぜひ本書で商品先物取引の基礎を学び、新たに商品先物取引の世界への第一歩としてほしい。
トウモロコシやガソリンなど、身近な商品を取引できる商品先物取引。だが投資家人口は増加しているにも関わらず「商品先物」のイメージはけっして良いとはいえない。その理由のひとつは、小さな金額で大きな金額を動かすことのできる「レバレッジ」にある。もちろん、その分リスクも高くなるが、レバレッジを正しく理解し、リスク管理さえしっかりとすればそこまで恐れるものではない。むしろ、株式の値上がり益だけでは得ることのできない醍醐味があるのだ。本書で商品先物取引の基本を学び、新たな世界に踏み出してほしい。
佐々木慧(ささき・けい)
1965年岩手県生まれ。大学卒業後、劇画家アシスタントを経て独立。93年より漫画読み切り・連載、カットの仕事を始める。ジャンルは歴史・バイクなど。原作つきも手がける。学習漫画やノウハウものを経て、現在に至る。『マンガ オニール流グロース株投資入門の入門』『マンガ 今日からデビューのFX』(パンローリング)、『いつでもいっしょ』(新風舎)など。趣味はバイク、旅行。
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