「相場で儲けるなんて不可能だよ」ある商品取引員会社の役員がこんなことを言っていました。相場に参加する人は、利益を追求していますが、大損をしてしまうと、「相場で勝つのは無理だ・・・。」と諦めてしまうかも知れません。しかし、儲かっている人々は実在します。それも大成功を収めているトレーダー達が存在します。相場で儲けるのは不可能ではないのです。
さて、成功者が存在するのなら、やはり彼らについての興味が湧いてきます。
「成功したトレーダーは、どんなことを言っているのだろうか?」
まさに、相場で勝ちたいと思っている人の共通の好奇心を満たしてくれるのが本書なのです。
本書には、トレーディングのヒントが詰まっています。
まず、手法についてのヒントを見付けることが出来ます。例えば、タートルズの生
みの親でもあるウィリアム・エックハート氏の言葉から、順張りトレーダーの哲学が伝わってきます(「押し目で買うのは好きじゃないね。マーケットが上向きで買いに出るべきだと思ったら、押し目を待たずに買いに出るね。(P135)」)。また、短期トレーダーには、リンダ・ブラッドフォード・ラシュキ女史の言葉が参考になるでしょう(「短期トレーダーとしての私は、この輪ゴムが最大限に伸ばされた状態まで待つのです。(P318)」、「『価格の修正は終値、下げ止まったし。買いましょう』という感じです。(P326)」)。
マネーマネジメント、リスク管理についての記述は、枚挙に暇がありません。その中でも、マーク・リッチー氏のルールのように、ユニークなものまで見付けることが出来ます(「私が守っているのは、夜、眠ろうと枕に頭を乗せたとき、まだそのポジ
ションについて考えているとしたら、翌朝から必ずそのポジションを削り始める、というルールです。(P340)」)。
手法を身に付けたトレーダーは、トレードの心理学の問題に直面することでしょう。どのように、成功したトレーダー達が欲望や恐怖といった感情を克服しているかの主観的・客観的な示唆は、そんなトレーダーにとっては金言になることでしょう。
特に主観的な表現は共感を与えてくれます。
私は今でも、本書に赤線を引きながらヒントを絞り出しています。本書は“オスス
メ”というより“定番”といったほうが相応しいかも知れません。勝てるトレーダーになりたいと考えている人には、とても励みになるでしょう。しかし、反対に、本書を読むことで、トレーディングの大変さを感じ取り、相場の世界から去っていく人がいても良いと思ってます。本書のウィザードたちの言葉は、それだけ強い訴えかけを含んでいるのです。
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