「ヘッジ・ファンドとは何ぞや?」ということに答えてくれる本。
と言っても、具体的にヘッジ・ファンドの設立や運用の仕方について記述した本ではない。
著者のバートン・ビッグスが、名門投資銀行の花形ストラテジストから自分で、ヘッジ・ファンドを設立した経験に基づいて、ヘッジ・ファンドの実情を余すところなく描いた「暴露本」とも言える一冊だ。
私の友人にも多いが、金融機関に勤めた経験のある人、またこれから金融やトレードで、一旗あげようと考える人の多くは、将来自分で「ヘッジ・ファンドを立ち上げる」という夢を抱いている人が多い。まるでヘッジ・ファンドが、「何かの錬金術」と考えているように思われて仕方ないが、実際この本を読むと、その苦労や難しさは並大抵のものではないと気づくだろう。
特に、「毎年何百ものヘッジ・ファンドが設立され、しかも何百ものヘッジ・ファンドが消えいく」という実情に目を向ける人は少ない。
また、他人のお金を預かって運用することの難しさを、本当に、肌身で感じている人は少ないのではないかと思う。
実は、人のお金は、「相場の好況時に群がり、苦境の時には、嵐のように去っていく」ものだと言うことを実感させてくれる。 こういった話を、いろいろなファンド・マネージャーの逸話と併せて、楽しく、面白く読ませてくれる一冊となる。