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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/10/17 11:08, 提供元: フィスコ はてな Research Memo(8):2026年7月期は広告宣伝費増や開発案件の端境期で一時的に減益に転じる見通し*11:08JST はてな Research Memo(8):2026年7月期は広告宣伝費増や開発案件の端境期で一時的に減益に転じる見通し■はてな<3930>の今後の見通し 1. 2026年7月期の業績見通し 2026年7月期の業績は、売上高で前期比1.7%増の3,859百万円、営業利益で同59.7%減の136百万円、経常利益で同56.8%減の146百万円、当期純利益で同56.1%減の101百万円と連続増収が続くものの、利益は2ケタ減益に転じる見通しだ。テクノロジーソリューションサービスにおいて、ストック型の売上は順調に拡大するものの、受託開発が端境期となり減収となること、またマンガ誌アプリのレベニューシェアのさらなる獲得に向け、サービスグロースの促進を目的とした広告宣伝費の一部負担を開始することが減益要因となる。ただ、広告宣伝負担したアプリに関してはレベニューシェア率が高く設定されるため、アプリを通じた流通額が拡大すれば収益貢献度も大きくなる仕組みだ。出版社と協働し、リスクを共有することでサービスグロースの促進とレベニューシェアのさらなる拡大を目指す。同社では1〜3年程度で広告宣伝負担分をレベニューシェアによって回収することを想定しており、まずは成功確率の高いアプリからスタートする。なお、広告宣伝負担額については顧客との契約時点で総額を決めており、当面は年間数億円程度の広告宣伝投資を実施する予定だ。 事業費用は前期比7.8%増の3,723百万円となる見通しで、内訳は人件費が同7.4%増の1,973百万、DC利用料が同3.5%減の770百万円、その他費用が同19.7%減の979百万円となる。人件費については、期末社員数で前期末比11人増の228人を目標としており、人員増が主な増加要因となる。増員職種は、サービス制作関連職に加えて新規事業立ち上げのための営業職など、バランスに配慮した採用を進める予定だ。また、DC利用料については為替レートが前期と同水準となることを前提に、コスト削減施策により米ドルベースでの利用量減少を見込んでいる。その他費用は同19.7%増の979百万円と大きく伸長するが、増加分の大半はマンガ誌アプリの広告宣伝負担によるもので、広告宣伝費としては前期比137百万円増を計画している。 (1) テクノロジーソリューションサービス テクノロジーソリューションサービスの売上高は、前期比1.1%減の2,808百万円と減収に転じる見通しである。受託サービスのうちストック売上(保守運用料、レベニューシェア等)は順調に成長するものの、既存顧客のリニューアル開発案件が端境期となり、ワンショット売上である開発料の減少を見込んでいる。なお、「GigaViewer」の新規リリース案件はWeb版で2025年8月に「一迅プラス」((株)一迅社)をリリースしたほか、アプリ版で2件のリリースを予定している(2件ともWeb版導入ユーザー)。 「Mackerel」はAPM機能の契約件数増によって増収トレンドに転じる見通しだが、本格的な売上成長は新規顧客の開拓が進む2027年7月期以降になると同社では見込んでいる。同社が開発したAPM機能に対する関心度は高く既存顧客から多くの引き合いがある一方で、実際に顧客が構築・運用しているアプリケーションソフトやミドルウェアも含めたシステム環境に対して、新たな計測ツールを導入することへのリスクを感じている顧客もいるようだ。こうした状況から、同社では実際の使い勝手を試すためのテスト環境を用意するなど様々な導入支援によって契約獲得につなげていく考えだ。また、既存顧客への営業活動が一巡した段階で、新規顧客への拡販も開始する予定だ。 (2) コンテンツマーケティングサービス コンテンツマーケティングサービスの売上高は前期比4.1%増の646百万円と4期ぶりの増収に転じる見通しだ。既述のとおり低価格設定として利用可能企業の範囲を広げたことで、「はてなCMS」の運用件数は前期末比28件増の178件と2ケタ成長を見込み、一方で1件当たり平均売上高は低下すると想定している。 新サービスの「toitta」は導入企業が順調に増加しており、新機能のリリースも予定していることから、期末までにはARRで1億円の達成を目指す。SaaS型の月額課金モデルで展開し、1契約当たりの月額売上高は数十万円規模を想定しているようだ。ニッチ市場にはなるものの、独自性の高いサービスとして今後の成長が期待される。 (3) コンテンツプラットフォームサービス コンテンツプラットフォームサービスの売上高は前期比20.3%増の395百万円と5期ぶりの増収に転じる見通しである。生成AIの活用がインターネットユーザーにおいて一般化するなかで、UGCサービスを生成AIフレンドリーなものに変える取り組みを進める。具体的には、生成AIベンダーとのパートナーシップ契約締結やAEOの推進によるPV数の増加に取り組むことで、ブロガーにとってサービスの魅力を保ち、アクセス数や課金/広告売上の向上につながる効果が期待される。なお、AEOの取り組みについては企業サイトを運営する「はてなCMS」でも同じ効果が期待される。 生成AIベンダーにとって、UGCサービスは膨大なテキストデータを蓄積し、また多くのユーザーが「旬」なテキストを投稿するという観点で、独自の学習データを持つ重要なプレイヤーである。米国の掲示板サービス「Reddit」はAI向け学習データ提供により、Googleと年6千万米ドル、OpneAIとも同等の契約を締結したとの報道もあり、同社も契約金額は小さいが、生成AIベンダーとのパートナーシップ契約締結に向けた交渉を進める段階にある。なお、景気動向やWeb広告のトレンドを踏まえ、アドネットワーク広告単価については引き続き下落すると想定している。 (4) その他サービス JOCのバリデータ売上が年間を通して寄与することで9百万円の売上を見込んでいる。売上高はJOCトークンの価格に連動するが、価格前提についてはおおむね前期並みの水準を想定しているようだ。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》 記事一覧 |