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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/09/08 13:05, 提供元: フィスコ アイリック Research Memo(5):保険分析・販売支援のプラットフォーマー(3)*13:05JST アイリック Research Memo(5):保険分析・販売支援のプラットフォーマー(3)■事業概要 5. システム事業 アイリックコーポレーション<7325>のシステム事業はインフォディオが「スマートOCR」を中心とするAIプロダクト・クラウドサービス開発・販売、システム受託開発を展開している。「スマートOCR」は、定型・非定型の数千万枚の手書き・活字の文書等を認識してデータ化できるエンタープライズ向けシステムである。単に手書き・活字の文字変換を行うだけでなく、マスターデータ連携・自動処理、高いセキュリティ、スマホアプリ等も備えた総合システムとして高い評価を得ており、保険用途にとどまらず幅広く企業・官公庁等のデジタル化・ペーパーレス化に寄与している。 「スマートOCR」の主な収益は、初期費用+定額制の月額定額収益(サブスクリプション)、処理件数が増えるほど収益が増加する従量課金制収益(リカーリング)、及び開発+長期利用契約の個別開発収益(カスタムシステム)の3種類となっている。顧客ニーズにあわせて柔軟にカスタマイズできることが特長・強みである。販売はソリューション事業が金融機関向け、システム事業が官公庁・一般企業向けを中心に展開している。 リカーリング型の導入事例としては(株)みずほ銀行がある。2021年11月に、みずほ銀行の経理業務効率化支援サービス「みずほデジタルアカウンティング」に「スマートOCR」が搭載された。フォーマットが異なる様々な紙の請求書をデータ化し、振込システムや会計システムへの連携も可能となった。個別開発型の導入事例としては、(独)統計センター(2020年11月に個々を特定できない処理が施された情報を認識処理する「AI技術を用いた文字認識サービスの提供業務」を受託、令和2年国勢調査等の定型帳票の手書き文字の認識に使用)、埼玉県警察(2021年12月に「スマートOCR」を導入)、法務省矯正研修所(2021年5月に手書きアンケート情報を認識処理する「効果検証用OCR機器の賃貸借」を受託)、国税庁課税部個人課税課(2021年4月に国税庁の「確定申告書等作成コーナーの源泉徴収票OCR機能に係る開発及び機器等の提供等」を受託)などがある。このほかの主な導入事例としては、2020年12月に(株)JTBが「スマートOCR」を組み込んで独自開発した「証憑書類電子保存化システム」が稼働開始、2021年3月に(株)日立ソリューションズのビジネスデータ活用支援「活文」に「スマートOCR」が採用、同年10月にはなさく生命保険(株)が「スマートOCR健康診断書」を導入した。 システム事業ではサービスラインナップ強化も推進している。「スマートOCR」ではデータ抽出の汎用パッケージとして「請求書」「領収書・レシート」「名刺」「運転免許証」「健康保険証」「源泉徴収票」「決算書」「通帳」「健康診断書」などをリリースしているほか、新たなサービスとしてAI-OCR技術を活用し、改正電子帳簿保存法に対応したクラウドサービス「DenHo(R)(デンホー)」(以下、DenHo)を2021年12月にリリースした。さらに「DenHo」の高機能バージョンという位置付けで、2024年1月に文書管理プラットフォーム「brox(R)(ブロックス)」(以下、brox)の提供を開始、同年12月に「brox」と生成AIを組み合わせたマルチドキュメントAIプラットフォーム「brox-AI」の提供を開始した。なお「brox」は2025年6月期に大手企業グループ2社で新規採用された。 (株)アシスト及びUbicomホールディングス<3937>と共同開発した生命保険エコシステム「生命保険給付金支払いプラットフォーム」は、支払い査定業務をデジタル化することで顧客サービス向上と査定業務自動化・事務効率向上を実現するプラットフォームで、2021年11月にチューリッヒ生命保険(株)、2022年2月にメディケア生命保険(株)、同年4月にアイアル少額短期保険(株)、2023年7月にネオファースト生命保険(株)に採用された。 新たな領域への展開としては、2022年5月にアミフィアブル(株)が開発したテスト工数削減AIアプリ「MELT.II」に「スマートOCR」が搭載されたことで、国内IT市場で6.4兆円規模になると想定されるテスト市場での活用が開始されている。同年8月には(株)flixy(2023年9月にアンター(株)に吸収合併)の「メルプWEB問診」に「スマートOCR」のオプション機能である「スマートOCRクリエイトフォーム」を搭載し、共同で全国の医療機関に展開することで合意した。2025年4月にはインフォディオがニーズウェル<3992>と、取引拡大など長期的な協業関係の構築・推進を目的として業務提携した。 6. リスク要因と課題・対策 保険販売事業における一般的なリスク要因としては、市場環境悪化や競合激化などによる保険契約者数減少、保険会社による営業政策の変更や保険手数料率の変更、個人情報保護、税務当局による保険商品の税務取り扱いの見直し、法的規制・自主規制などが挙げられる。保険販売(訪問型、来店型)は競合の多い市場だが、保険販売における加入チャネル比率(出所:(公財)生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」)は、保険ショップからの加入比率が2009年の6.4%から2024年に15.7%まで上昇した。複数の保険会社の商品を比較して加入するユーザーの増加に伴って加入チャネルシェアが大きく変化し、保険代理店の存在感が高まっている。同社にとって市場環境は良好であり、同社は自社開発システムやワンストップソリューションによって競合優位性を維持していると弊社では見ている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展) 《HN》 記事一覧 |