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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/08/18 13:01, 提供元: フィスコ アドバンクリエ Research Memo(1):2025年9月期下期以降、収益は回復軌道へ*13:01JST アドバンクリエ Research Memo(1):2025年9月期下期以降、収益は回復軌道へ■要約 アドバンスクリエイト<8798>は、国内最大級の保険選びサイト「保険市場(ほけんいちば)」を運営する独立系保険代理店の大手である。「保険市場」サイトやダイレクトマーケティングによって問い合わせのあった見込み顧客に対して、非対面販売(通信販売、ネット完結型販売)や同社直営のコンサルティングプラザ、提携代理店、オンライン保険相談など最適なチャネルを通して保険商品を販売している。事業としては保険代理店事業のほか、ASP※1事業、メディア事業(「保険市場」サイトによる広告収益)、メディアレップ事業、再保険事業を展開している。2024年に保険代理店事業の売上算出方法に疑義が生じ※2、過去に遡及して見直した結果、売上を過大に計上していたことが判明し、2019年9月期以降の業績修正を行った。これに伴い、純資産額は2023年9月期以降債務超過の状態となっている。 ※1 ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)とは、インターネットを通して各種アプリケーションを提供するサービスまたはサービスを提供する事業者のこと。 ※2 代理店手数料に係る売上の計上方法(PV計算)の結果の一部について実態との乖離が判明し、過年度に遡って再算定作業を実施した。PV売上とは、その割引現在価値合計額を売上として計上する方法(PV計算。2019年9月期より適用)によって計上された売上をいう。 1. 2025年9月期中間期の業績概要 2025年9月期第2四半期(以下、中間期)の(2024年10月〜2025年3月)の連結業績は、売上高で前年同期比39.3%減の2,720百万円、経常損失で1,138百万円(前年同期は82百万円の利益)となった。保険会社を顧客とするメディア事業の売上が前年同期比96.7%減の38百万円と大幅減となったほか、PV計算における変動対価の精緻化によりPV売上が減少したこと、並びにアポイント取得数の伸び悩みにより保険代理店事業の売上が同37.6%減の1,975百万円と減少したことが減収減益要因となった。 2. 2025年9月期の業績見通し 2025年9月期の連結業績は、売上高で前期比14.1%減の6,750百万円、経常損失で840百万円(前期は808百万円の損失)と、2025年5月15日に開示した通期業績予想(売上高7,400百万円、経常損失270百万円)から下方修正した。保険代理店事業における先行指標であるアポイント取得数が想定を下回っており、新規契約件数の下振れが主因だ。また、債務超過を解消するための資本増強施策等の実行に向けた検討に時間を要し、関連費用が当初想定より増加する見込みとなっていることも下振れ要因となる。なお、メディア事業については、保険会社による代理店への過度な「便宜供与」問題の1つとして取り上げられた。2024年秋以降に金融庁が国内生命保険会社を対象に広告費の実態調査に乗り出したこともあって、広告出稿が手控えられてきたが、広告費の取扱いに関する金融庁の指針が固まり次第、広告出稿も回復すると見られる。ただ、回復ペースについては見通し難いことから、業績計画にはほとんど織り込んでいない。 3. 上場維持基準の適合に向けた取り組みと成長戦略 同社は純資産額が2025年9月期中間期末で約65億円のマイナスとなっており、東京証券取引所プライム市場、福岡証券取引所本則市場及び札幌証券取引所本則市場における上場維持基準(純資産が正であること)に適合しない状態※となっている。債務超過状態を解消するため資本増強策を検討中としていたが、2025年7月17日付で、第三者割当による普通株式及びA種種類株式の発行により約70億円の資金調達を行うことを発表した。また、同社は本普通株式及びA種種類株式の発行の承認を得るため、2025年8月19日に臨時株主総会の開催を予定している。今後の成長戦略については、引き続きICTを駆使した先進的なマーケティング施策とアバター接客等の生産性の高い営業手法を組み合わせて「アポイント数×稼働率×人財」の3要素を強化することで、保険代理店事業の成長を目指す戦略だ。厳しい経営環境のなか保険代理店業界は淘汰が進むと見られるが、先進的な経営戦略を推進する同社が再び成長路線に復帰する可能性は十分にあると弊社では見ている。なお、債務超過の解消を最優先とするため、2025年9月期の1株当たり配当金は未定(前期は17.5円)としているほか、株主優待制度も一時休止することを発表した。 ※ 福岡証券取引所本則市場及び札幌証券取引所本則市場においては、株券上場廃止基準(債務超過となった場合)に抵触した場合をいい、以下においてはこれらの基準を区別せず上場維持基準等という。また、以下においては東京証券取引所プライム市場、福岡証券取引所本則市場及び札幌証券取引所本則市場を総称して東京証券取引所プライム市場等という。 ■Key Points ・2025年9月期中間期業績は、広告収入の大幅減や一時的費用の計上もあって減収減益に ・2025年9月期業績計画を下方修正するも、下期は黒字転換する見通し ・2025年9月末までに債務超過を解消し、先進テクノロジーを活用した営業手法により再成長を目指す (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》 記事一覧 |