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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/08/08 14:02, 提供元: フィスコ

ニフコ:プラスチックファスナー起点にグローバルに事業展開、利益率向上を推進

*14:02JST ニフコ:プラスチックファスナー起点にグローバルに事業展開、利益率向上を推進
ニフコ<7988>は、プラスチックファスナーを起点に、自動車業界を中心とした高機能樹脂製品の設計・製造・販売を展開するグローバルサプライヤーである。同社の製品は、製造現場の生産工程における省力化やコストダウンに大きく貢献し、やがて自動車業界の発展とともに多くの自動車に搭載されるようになった。主要セグメントは合成樹脂製品およびベッド・家具関連製品に分かれている。地域別では、日系OEM向けが51%、韓国系が25%、米系が11%、その他欧州系や中国系などを含む構成となっている。また、地域別の売上構成比では日本・北米・欧州・アジアにバランスよく展開しており、それぞれの市場に適した製品開発体制を構築している点が特徴である。

同社は、自動車の電動化やCASE(Connected・Autonomous・Shared・Electric)に対応し、多品種少量生産に注力した製品群の開発を進めており、各国のOEMとの強固な取引関係を背景に、安定した受注基盤を確保している。強みとしては、業界問わず顧客ニーズに対応してきた「提案力」「品質対応力」「グローバル展開力」の3つが挙げられる。現在、同社が保有する知的財産権は全世界で約3,400件(2024年3月末時点)、国産の自動車1台あたりでは同社製品が700点以上も使用されている。また、世界15の国と地域に40工場(2024年5月末現在)を展開している。そのほか、グローバルな顧客基盤と高度な技術力に裏打ちされた多様な製品ラインアップを展開しているが、特に、ICE(内燃機関)からEV(電気自動車)まで、全方位のパワートレインに対応する部品を展開し、変化の早い市場においても競争力を維持している。顧客の開発段階から参画し、設計・提案力を活かした共同開発を行うことで、顧客ごとのニーズに最適化されたソリューションを提供す。直近は、ドイツ事業売却により収益性を改善し、固定費の最適化と変動費の管理に注力することで利益率を高水準に維持している。

2025年3月期の売上高は353,038百万円(前期比5.0%減)、営業利益は49,200百万円(同12.0%増)で着地した。ドイツ事業売却の影響で減収も、材料費などの変動費抑制、円安や北米の好調等により前年同期比で増益。主力の合成樹脂事業における国内自動車業界向けでは、一部自動車メーカーによる認証試験不正の新たな発覚とその対策としての品質を優先した生産体制、天災・事故によるサプライチェーンの停滞等による減産が相次いだが、新車立上げに伴う金型売上や電力料補填、材料費・労務費の価格転嫁等が貢献した。海外では、韓国OEM向け事業は顧客の増産等により引き続き好調を維持し、北米において対計画比・前年比ともに増収増益を達成した。欧州もドイツ事業の整理を経て改善基調が見られた。一方、中国やアジアでは販売台数の伸び悩みにより一部減益となったが、インド市場での新工場稼働により今後の成長が見込まれている。

2026年3月期の売上高は348,000百万円(前期比1.4%減)、営業利益は49,500百万円(同0.6%増)を見込む。営業利益の過去最高更新と営業利益率14.2%へさらなる利益率改善を想定している。北米市場は安定的な需要を維持し、インド市場では新工場稼働により拡販を進める一方、中国などアジア市場は慎重な見通しを立てている。為替は円高見通しだが、変動費の削減や価格是正の継続に加え、固定費抑制を通じて利益の維持拡大を図る計画である。

市場環境としては、自動車産業は100年に一度と言われる大変革期にある。各国の環境規制の厳格化もあり、特に自動車産業ではCASE(ケース)の進化が予想を超えて押し寄せている。ただ、自動車産業における電動化・軽量化ニーズが高まり、射出成形による樹脂製部品の需要は堅調に推移している。加えて、各国の環境規制強化やエネルギー価格の変動といった外部要因が部品選定に影響を与えており、軽量で加工性の高いプラスチック部品へのシフトが一層進む見通しである。一方で、地政学的リスクや物流コストの高止まり、関税の不確実性といった課題も残るため、地域分散やコスト管理の徹底が求められる状況である。

こうした市場環境の変化を、同社は今まで以上にチャンスだと捉えているようで、年々厳しくなる環境規制に適合した燃料タンク周りの製品やEV(電動自動車)向け製品、ADAS(先進運転支援システム)関連製品の開発も着実に進めている。今後の見通しとして、中期経営計画においてFY2027年に売上高3,690億円、営業利益534億円、ROE12-14%、ROIC18-20%という数値目標を掲げている。その達成に向けては、既存事業の強化とともに、成長性の高いインド市場へのリソース集中や、中資系OEMとの新規取引の獲得、中国・東南アジアでの販売拡大が進められている。さらに、自前主義に固執せず、M&Aや外部との提携を通じた新規事業構築も並行して推進している。また、経営基盤の強化としては、デジタル経営の推進、人材多様性の向上、ガバナンス体制の整備にも注力しており、企業価値の持続的向上を図る姿勢を鮮明にしている。

株主還元に関しては、キャッシュフロー重視の経営方針のもと、安定配当と機動的な自社株買いを組み合わせた「総還元性向45%以上」の方針を掲げている。今後も持続的な成長と収益力の強化を前提とした株主還元策を継続していく方針であり、株主との利益共有を重視した姿勢を表している。新工場の稼働を含めて今後の成長に期待しておきたく、株価の戻り局面も近い可能性があろう。


《HM》

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