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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/08/07 15:04, 提供元: フィスコ 川辺 Research Memo(4):2025年3月期は期初計画を上回る大幅増益で着地*15:04JST 川辺 Research Memo(4):2025年3月期は期初計画を上回る大幅増益で着地■川辺<8123>の業績動向 1. 2025年3月期連結業績の概要 2025年3月期の連結業績は売上高が前期比2.3%減の12,769百万円、営業利益が同21.8%増の307百万円、経常利益が同17.4%増の417百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同54.2%増の411百万円となった。期初計画(2024年5月13日付の期初公表値、売上高13,711百万円、営業利益255百万円、経常利益383百万円、親会社株主に帰属する当期純利益283百万円)に対して、売上高は計画を941百万円下回ったものの、各利益は営業利益が52百万円、経常利益が34百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が128百万円、それぞれ計画を上回る大幅増益で着地した。 売上面は物価高に伴う節約志向の高まりや、一部の国内大手量販店の閉店・売場面積縮小などの影響を受けた。しかし、利益面はインバウンド需要拡大に伴って百貨店販路のグループ内製造商材(プリントハンカチーフなど)が好調な推移が寄与した。また、フレグランス事業が商品企画力や販売チャネルの拡充効果で黒字化が定着した。売上総利益は同3.4%増加し、売上総利益率は同2.3ポイント上昇して41.2%となった。ハンカチーフを中心とする商品価格適正化なども寄与した。販管費は新規商材に対する先行投資などで同2.5%増加し、販管費比率は同1.8ポイント上昇して38.8%となった。この結果、営業利益率は同0.5ポイント上昇して2.4%、経常利益率は同0.6ポイント上昇して3.3%となった。なお親会社株主に帰属する当期純利益については、2024年8月1日付の減資(勘定科目間の振替処理により資本金の額を減少)に伴って繰延税金資産の見直しを行い、法人税等が減少したことも寄与した。 身の回り品事業は売上高が同3.1%減の10,642百万円、セグメント利益(全社費用等調整前経常利益)が同2.0%増の584百万円となった。品目別売上高はハンカチーフが同0.7%減の8,131百万円、スカーフ・マフラーが同9.2%減の1,153百万円、タオルが同13.7%減の568百万円、雑貨・その他が同8.8%減の788百万円となった。売上面は全体として小幅減収となったが、利益面はグループ内製造商材の好調による売上ミックス影響や価格適正化などの効果で売上総利益率が1.7ポイント上昇した。 ハンカチーフについては、大手量販店の売り場縮小の影響をカバーできず微減収となったが、インバウンド需要拡大に伴って百貨店販路のグループ内製造商材が好調に推移したほか、2025年2月に販売開始した新ブランド「BOSS」のバレンタイン需要や3月の返礼需要が貢献し、さらに売上ミックス影響や価格適正化効果なども寄与して売上総利益率が上昇した。スカーフ・マフラーについては、シルク商材が年間を通して堅調に推移したが、大手量販店の売り場縮小の影響を受けた。タオルについては、テレビ通販部門で取り扱うリビングタオルのオンエア規模縮小が影響した。 フレグランス事業は売上高が同1.9%増の2,127百万円、セグメント利益が同56.4%増の12百万円となった。インバウンド需要も背景として「CREED」伊勢丹本店や「ACQUA DI PARMA」銀座シックス店における販売が好調に推移したほか、ブランドブティック向け卸売も伸長した。売上総利益率は同4.9ポイント上昇し、黒字が定着した。 2. 財務の状況 2025年3月期末の資産合計は前期末比288百万円減少して12,407百万円となった。主に棚卸資産が同22百万円増加、繰延税金資産が同22百万円増加した一方で、現金及び預金が同118百万円減少、受取手形及び売掛金が同258百万円減少、投資有価証券が同43百万円減少した。負債合計は同513百万円減少して5,319百万円となった。主に支払手形及び買掛金が同180百万円減少したほか、長短借入金合計が同212百万円減少して2,274百万円となった。純資産合計は同225百万円増加して7,087百万円となった。この結果、自己資本比率は同3.0ポイント上昇して57.1%となった。特に懸念材料となる点は見当たらず、財務の健全性を維持していると弊社では考えている。 なお同社は、事業規模に応じた適切な税制の適用を通じて財務の健全性を維持し、資本政策の柔軟性及び機動性を確保することを目的として、2024年8月1日付で減資(資本金の額の減少)を行った。2024年3月期末時点の資本金の額1,720.5百万円から1,620.5百万円減少して、資本金の額を100百万円とした。発行済株式総数の変更は行わず、減少する資本金の額1,620.5百万円の全額をその他資本剰余金に振り替えた。勘定科目間の振替処理のため同社の純資産額及び発行済株式数に変動はないが、法人税等の負担軽減効果が得られる。 ■今後の見通し 2026年3月期は新規商材に対する先行投資などを考慮して減益を予想 ● 2026年3月期連結業績予想の概要 2026年3月期の連結業績予想は、売上高が前期比5.5%増の13,470百万円、営業利益が同25.4%減の229百万円、経常利益が同9.1%減の379百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同45.3%減の225百万円としている。 売上面は、同社グループの強みである垂直型サプライチェーンを生かし、前期に新たなライセンスとして取得したハンカチーフ「BOSS」やフレグランス「Van Cleef & Arpels」の拡販、大阪・関西万博におけるハンカチーフの販売、アニメーションとのコラボ新商品の発売、自社オリジナルブランドを含めた商品ラインナップの拡充、新規販路の開拓なども推進して増収を見込む。利益面は、新規商材に対する先行投資などを考慮して減益予想としている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 水田 雅展) 《HN》 記事一覧 |