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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2025/07/31 12:07,
提供元: フィスコ
MDNT Research Memo(7):開発パイプラインの再編と早期ステージアップへ注力
*12:07JST MDNT Research Memo(7):開発パイプラインの再編と早期ステージアップへ注力
■再生医療等製品事業の進捗と今後の取り組み
再生医療等製品事業において、メディネット<2370>は合計5つの開発パイプラインを進めている。製品開発段階では(1) 「膝軟骨損傷に用いる自家細胞培養軟骨」を推進している。研究開発段階では、(2) 「HSP-105由来ペプチドに関連したがん免疫療法」(国立がん研究センターとの共同研究開発)、(3) 「糖鎖修飾改変Tリンパ球(2-DGリンパ球)培養技術の応用」、(4) 「先制医療※における免疫細胞治療の有用性に係る共同研究などの研究開発」、(5) 「MUSCAT-assay」(岡山大学との共同研究)、の4つテーマに取り組んでいる。
※ 先制医療とは、病気の発生を未然に防ぐことを目的に、様々な背景因子などによる予測・診断を踏まえ、症状や障害が起こる以前の段階から実施する医療のこと。
同社は今後、研究開発段階にある各テーマの早期ステージアップに加え、新規候補品の獲得に注力する方針に転換した。背景には、有望視されていた九州大学との共同研究「慢性心不全治療を目的とした再生医療等製品の実用化」が、医師主導による第IIb相臨床試験の結果を受けて、2024年9月期に開発中止となった経緯がある。
なお、「YOKOHAMA宣言2025」を踏まえ、同社は再生医療等製品の研究開発に加え、安確法で提供される自費診療のエビデンスデータ拡充のための研究にも注力する。2025年9月期からは、薬機法で提供される再生医療等製品の研究開発に関するもの、安確法で提供される自費診療に関するものについて、それぞれ開発上の確認を進め、開発パイプラインの進捗を公開した。
(1) 「膝軟骨損傷に用いる自家細胞培養軟骨」の進捗
「NeoCart」は自家細胞培養軟骨による成人の膝軟骨修復治療を目的とする。米国Ocugenは2022年5月末、FDA(米国食品医薬品局)よりRMAT指定を受けたと発表した。RMATは、再生医療のうち重篤な状態に対する治療で、予備的な臨床的エビデンスによりアンメットメディカルニーズ※に寄与する可能性が示唆される品目が指定対象となり、優先審査と迅速承認の機会が与えられる。
※ まだ有効な治療法や診断法が確立されていない、あるいは既存の治療法では十分に満たされていない医療上のニーズ。
OcugenはFDAとのPhaseIII試験プロトコル最終化を既に終え、治験製品製造体制などの構築を進めている。これを受け、同社は米国でのプロトコルを基に、国内試験デザインについて(独)医薬品医療機器総合機構(以下、PMDA)と協議を開始した。
「MDNT-01(NeoCart)」自家細胞培養軟骨に関しては、Ocugenにおける試験製品の製造体制準備に遅れが見られたものの、同社はOcugenが米国での試験について2025年9月期中の開始を目指している。国内での臨床試験デザインに関するPMDAとの協議も継続中で、Ocugenが米国での治験開始準備を終え次第、2025年後半には国内での開発方針が決定される予定である。
(2) 「HSP-105由来ペプチドに関連したがん免疫療法」の進捗
同社は、これまで国立がん研究センターと「HSP-105を発現しているがんに対する免疫療法(特異的TCR-T 細胞)」を共同研究してきた。HSP-105は、大腸がん、食道がん、咽頭がん、膵がん、乳がん、メラノーマなど、様々な固形癌に高発現するがん抗原である。
国立がん研究センターでは、HSP-105由来のCTLエピトープ(がんの特異的な目印であり、T細胞が攻撃する標的)を特定し、これを用いたペプチドワクチン療法の第1相試験を実施した。試験では、参加した患者の血液からHSP-105特異的T細胞を分離し、そこから得られたTCR遺伝子(T細胞ががんの目印を認識するための遺伝子)をほかのT細胞に導入することで、がんを攻撃する免疫細胞HSP-105特異的TCR-T細胞の作製に成功した。これらのTCR-T細胞は、試験管内でHSP-105陽性の大腸がん・子宮頸がん細胞株に対し強い細胞傷害活性を示し、免疫不全マウスモデルでも腫瘍抑制効果を確認した。
今後、同社と国立がん研究センターは、マウスの固形がんモデルで有効性をさらに検証し、固形がんに対する新規治療法の提供を目指す方針である。
(3) 「糖鎖修飾改変Tリンパ球(2-DGリンパ球)培養技術の応用研究」の進捗
同社では、免疫細胞の分化・増殖・活性化・遊走において細胞内エネルギー代謝の制御が重要であることに着目し、T細胞培養時に代謝調節作用を持つ2-deoxyglucose(2-DG)を培養液に添加することで、従来にない抗腫瘍効果を示すT細胞の誘導に成功した。
2025年9月期中間期時点で、2-DGを利用し、キメラ抗原受容体(CAR-T)や抗原特異的T細胞受容体(TCR-T)への応用に関する基礎検討を進めている。また、契約先の瀬田クリニック東京では、同技術を用いた2-DGリンパ球の患者提供をすでに開始された。今後は基盤技術として、CAR-T及びTCR-Tへの応用検討を継続するとともに、技術導出の可能性についても検討を開始する予定である。
(4) 「先制医療における免疫細胞治療の有用性に係る共同研究」の進捗
同社は、自費診療における免疫細胞治療のエビデンス拡充に向け、提携医療機関である瀬田クリニック東京と共同研究を進めている。
研究の第1段階として、健常者を対象としたこれまでの臨床研究において、免疫細胞治療の投与前後で割合が有意に変動した免疫細胞が確認されたことから、これらの変動の意義を明らかにするため、追加の臨床研究を実施している。
第2段階として、免疫チェックポイント阻害剤(以下、ICI)で効果が得られなかった進行腎盂がん患者を対象に、ICI投与終了直後からαβT細胞療法を用いた臨床研究に取り組んでいる。2024年11月時点の中間解析(登録11例)では、4例でがんの進行が認められ、3例ではがんの進行が見られず安定が観察された。がんの進行が見られなかったうちの1例では、腫瘍関連抗原に対する自己抗体価の上昇が示唆され、免疫応答増強の可能性が示された。研究は現在も症例登録と経時的評価を継続しており、今後さらに症例を集めて忍容性及び有効性の最終検証を行う予定である。なお、瀬田クリニック東京は本臨床研究の中間解析結果を2024年12月に日本バイオ治療学会で報告した。
(5) 「MUSCAT-assay」の進捗
「MUSCAT-assay」は微量血液から治療効果予測に役立つ自己抗体を高感度に定量できる技術であり、ICI療法の効果予測やがんリスク検査への応用が期待されている。岡山大学と札幌医科大学の共同研究により、切除不能希少細胞肺がん患者におけるICI治療前後の血清が解析された。この結果、治療効果が持続した症例では自己抗体価の顕著な上昇が確認された一方、再発症例では変化が乏しいことが分かった。この成果は、「MUSCAT-assay」がICI治療効果の予測ツールとして有望であることを示唆しており、将来的な診断薬開発につながる可能性がある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)
《HN》
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