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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/06/12 12:03, 提供元: フィスコ サクシード Research Memo(3):教育環境の悪化を背景に外部委託に踏み出す自治体が増加*12:03JST サクシード Research Memo(3):教育環境の悪化を背景に外部委託に踏み出す自治体が増加■サクシード<9256>の事業内容 1. 教育人材支援事業 教育人材支援事業では、ICT支援員や学校教員、部活動指導員、日本語教師など、教育に携わる人材を学校や自治体に紹介・派遣するほか、業務の受託を行っている。また、他社学習塾・予備校などに対して、塾講師や教室長といった人材を紹介・派遣するサービスも展開している。なお、同社では、「教えるシゴト」など自社媒体や各種有料媒体を通じて集めた求職者一人ひとりに対し、専任のコーディネーターが希望やニーズを詳細にヒアリングする。そこで、同じコーディネーターがあらかじめ求人企業にヒアリングした詳細情報や個別事情をもとに相性を考慮して提案するため、求職者と求人企業のマッチング確率が非常に高くなっている。また、同社の人材は、教員免許所持者など教育関連人材の登録者の多いことが特徴となっている。依然として閉鎖的な公立学校や自治体が多いが、教育環境の悪化を背景に、同社のような優良な外部企業への委託に踏み出す自治体が顕著に増えている。 (1) ICT支援員 教育現場のDXを推進するため、文部科学省は、児童1人につき1台の情報端末を配布し、4校に1人の割合でICT支援員を配置するという「GIGAスクール構想※1」やデジタル教育の拠点となる高校を作る「DXハイスクール※2」を策定した。このためICT支援員の確保を迫られた自治体向けに、同社はICT支援員の紹介・派遣を行う人材サービスを提供している。また、同社はICT支援員に関して、学校・教員の負担軽減と学校授業の質向上など様々な教育現場の課題を解決する端緒になると考え、登録を充実・強化するとともに、全国の自治体をターゲットに支援体制を構築している。 ※1 2019年に始まった政策で、1人1台の端末と高速大容量の通信ネットワークによって、多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく確実に育成できる教育環境の実現を目指している。 ※2 情報や数学などを重視するカリキュラムやICTを活用した文理横断的な学びの強化などに必要な環境整備を文部科学省が主導して支援する取り組みで、2024年度に始まった。 (2) 学校教員 教育関連の人材を多く抱える同社は、全国の私立小・中・高校に対して、常勤・非常勤の教員を紹介・派遣するサービスを展開している。かつて教員は人気職種だったが、現在では厳しい職場環境にあるため教職志望の学生の減少が続いており、教員の採用倍率低下に伴う質の低下も懸念されている。また、公立学校では教員不足の埋め合わせに、定年後の教員を活用するような状況となっている。このため、なかなか外部に依存しなかった公立学校も、外部委託への間口を開けはじめた。同社は今のところ実績のある私立学校を中心にサービスを提供しているが、ニーズの高まりを受け、教員の転職をサポートするための求人サイトなどを拡充している。 (3) 部活動指導員・部活動の運営受託 学校現場において部活動による教員の負担が増えており、教員本来の業務である授業に集中できないことや、部活動の指導に割く時間外労働の多さ、部活動に対するノウハウや責任の所在などが大きな課題となっている。同社は、全国の学校に対して部活動の運営を受託するサービスを展開している。今のところ私立学校が中心だが、教育現場の課題解消が急がれるなか、国による部活動改革※の後押しもあり、足元では公立学校・自治体からの受注が急速に増えてきた。なお、部活動の運営受託サービスは、教員の働き方改革の実現に加えて、ハイレベルな競技実績や理論を有する外部コーチを派遣できるので生徒の満足度も向上する。なお、部活動指導員は、アスリートのセカンドキャリアとしても意義のある職業である。 ※ 少子化対応、多様なスポーツ機会の確保、教師の負担軽減などの観点から、子どもの文化・スポーツ活動を、学校単位から地域(地域連携・地域展開)へ移していくこと。 (4) 日本語教師・ALT・介助員 労働力不足を背景に日本企業では外国人材の採用ニーズが高まっており、それに伴って、そうした人材や家族が定着するための語学支援ニーズが広がっている。このため同社は、外国人材を雇用する企業に対し、日本語教師の派遣やオンライン授業の配信、日本語教室の運営受託など様々な語学支援サービスを展開している。また、グローバル化に伴って日本人の語学力の向上が求められるようになってきたことから、一般の小中学校や高等学校においてALT※の配置が進んでいる。さらに、一般の教室に外国人の子どもや障がいのある児童が在籍することが多くなってきていることを背景に、日本語教師や介助員(福祉人材支援事業で展開)などの派遣も行っている。 ※ ALT(Assistant Language Teacher):グローバル化に対応した外国語教育を実践するために、小学校、中学校、高等学校に配置される外国語指導助手。 (5) 学内塾の運営受託 長年学習塾を運営してきたノウハウを生かし、私立中高一貫校や公立の中学・高校に対して、学内塾の運営を受託するサービスを展開している。放課後や土日、または早朝に、学校の教室において多彩なカリキュラムで課外授業をサポートするほか、生徒の学習支援を行うチューター(塾内で学習補助を行う講師)や、進路相談を担当するカウンセラーによるサポートも行っている。特に、少子化に伴って生徒獲得競争が激化している私立学校は、進学実績作りなどのために利用している。 (6) 塾講師 学習塾の講師は、大都市部に優秀な大学があるという供給の偏在性や、学生の進学・卒業などによる雇用の季節性から採用難易度が高く、学習塾業界は慢性的な講師不足の状態にある。様々な教育ニーズに応えることのできる人材が集まっている同社は、そうした課題を持つ競合の他社学習塾や予備校に対して、専任講師やアルバイト講師を紹介・派遣するサービスを提供している。同社が派遣した講師は、直接採用の場合に比べてマッチングしやすく、定着率が自然と高くなるようだ。競合する他社学習塾が顧客でもあるというユニークなビジネスで、同社は学習塾業界全体に流入する教育費をターゲットとしていると言える。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光) 《HN》 記事一覧 |