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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/06/10 13:06, 提供元: フィスコ ニーズウェル Research Memo(6):中期経営目標に向けて堅調な進捗。AIやサブスク収益が成長を後押し(1)*13:06JST ニーズウェル Research Memo(6):中期経営目標に向けて堅調な進捗。AIやサブスク収益が成長を後押し(1)■ニーズウェル<3992>の中期経営計画 2024年8月、同社は、2024年9月期から2026年9月期における中期経営計画を発表した。旧中期経営計画の基本方針はそのままに、新たな施策を加えることで、さらなる成長を目指す。 1. 経営理念・中期方針 同社は、「広く経済社会に貢献し続ける」経営理念のもと、常に進化するニーズに応じて、革新を試みながら社会への貢献を目指している。この姿勢は「Try & Innovation」をスローガンに掲げる経営指針にも反映されており、企業活動を通じて持続可能な経済発展への寄与を志向している。中期的な視点では、「真のシステムインテグレータへ移行」を基本方針としている。これは技術的な専門性と経営戦略を融合させ、より高度なソリューションを顧客に提供することを意味している。中期経営指針においては、生産性の向上を通じて高収益を実現することと並行して、残業時間の低減を図る。これにより、従業員には高給与と高賞与が保障され、ワークライフバランスの実現を推進する。 さらに、企業価値の向上のために事業価値と社会価値の向上を目標として掲げており、具体的には、事業価値の向上に関しては、業績目標と事業目標を達成すること、社会価値の向上に関しては、サステナブルな経営を実現することで、環境への配慮と社会的責任を果たすことを目指している。これらの方針は、長期的に企業の持続可能性と競争力を高めるための戦略的なステップとして位置付けられている。全体として、技術革新と社会貢献を経営の中核に置きながら、従業員の働きがいと企業の持続可能性の向上も図る。 2. 企業価値の向上 同社は、経営理念と戦略を軸に、具体的な施策を通じて企業価値の向上を目指している。売上高成長率の年20%を維持しつつ、経常利益率を10%で安定させること、また売上総利益率25%、販管費率10%を目標とすることで、経済的な健全性と持続的成長を両立させる姿勢を示している。さらに、2026年9月期までに売上高130億円、経常利益17億円を目標とし、CAGR14%を掲げている。これに加えて、株主価値の指標として1株当たり利益(EPS)65円、株価収益率(PER)30倍、自己資本利益率(ROE)20%も目標に設定しており、成長と収益性のバランスを図ることで、企業価値を一層高めていく方針である。経済的、社会的、環境的側面を総合的に考慮した同社の経営戦略は、投資家だけでなく、顧客、地域社会、そして従業員からの信頼と評価を高めることに寄与し、結果的に企業価値の向上につながることを意図している。 3. 成長戦略の進捗状況 同社は、2026年9月期における売上高130億円・経常利益17億円の達成を中期目標に掲げている。2025年9月期の業績予想では、売上高106億円(前期比11.0%増)、経常利益14億円(同15.9%増)を見込んでおり、計画に対する進捗は順調である。主力の業務系システム開発に加え、AIソリューション、マイグレーション開発、ITアウトソーシングなど高成長分野が売上全体の構成比を高めており、利益率向上にも寄与している。 2025年9月期第2四半期時点での通期売上進捗率は47.5%、経常利益は53.1%に達しており、通期計画の達成に向けた足取りは堅調である。今後は、AIや生成AIを活用した新サービスの拡充、サブスクリプション収益の拡大、M&Aによる外部成長(売上9億円想定)などを通じて、売上130億円体制の構築を図る。収益性・資本効率の改善も並行し、KPIであるROE・ROIC20%超の実現を目指す。 成長5分野に注力し、収益性と企業価値の向上を推進 4. 重点施策 同社は、2025年9月期第2四半期において中長期的な企業価値向上を見据え、「成長領域の拡大」と「高収益体質の維持・強化」を軸とした重点施策を推進している。特に注力するのは、「ソリューションビジネスの拡大」「マイグレーション開発ビジネスの拡大」「ITアウトソーシングの拡大」「物流ビジネスの拡大」「AIソリューションの拡大」の5分野であり、これらはいずれも市場の構造的なニーズを背景にした戦略的成長領域である。各施策においては、「開発から運用までの一貫体制」「長崎ニアショアの活用」「サブスクリプションモデルによるストック売上比率の向上」などが共通戦略として採用されている。 (1) ソリューションビジネスの拡大 同社は、「ソリューションビジネスの拡大」を、企業価値・受注力・収益性を高める戦略的領域と位置づけ、「単価から価値への転換」を掲げてビジネスモデルを転換中である。従来の開発型ではなく、顧客と共創するサービス提供型へと移行し、付加価値の高いソリューションの開発・導入を進めている。 具体的には、社内活用で検証されたサービスをサブスクリプション形式で提供し、継続的な支援を実現する。2025年4月以降はBPO+AI+経費精算の統合ソリューション、仮想化対応のCitrixソリューションなど、多様な協業も加速中である。ソリューション事業の売上は前年同期比23.9%増と急成長しており、同社の重点事業として今後の持続的成長を支える柱となっている。 (2) マイグレーション開発ビジネスの拡大 同社は、老朽化したレガシーシステムから新たなプラットフォームへの移行需要の高まりを背景に、マイグレーション開発ビジネスを成長領域の1つとして強化している。国産汎用機メーカーの撤退や技術者の高齢化により、マイグレーション案件は年々増加傾向にあり、同社はこの市場機会を的確に捉えている。特徴的なのは、長崎のニアショア拠点にマイグレーション専門の技術者を集約し、ノウハウの蓄積と対応力の向上を図っている点である。これにより、品質・スピード・コストのバランスを取った一貫した移行支援サービスを提供可能とし、さらに、マイグレーション後の「品質テストサービス」まで自社で実施することで、信頼性の高いシステム移行を実現している。テスト自動化や開発人員の有効活用により、顧客のコスト削減・生産性向上にも寄与している。 2025年9月期第2四半期では、マイグレーション開発の売上高が前年同期比20%増と大幅に伸長しており、同社の成長を支える中核事業としての存在感を強めている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞) 《HN》 記事一覧 |