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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/04/08 12:03, 提供元: フィスコ WACUL Research Memo(3):「AIアナリスト」を中心に幅広く事業展開(1)*12:03JST WACUL Research Memo(3):「AIアナリスト」を中心に幅広く事業展開(1)■WACUL<4173>の事業概要 同社事業は「DX事業」の単一セグメントであるが、提供しているサービス内容からプロダクト事業、インキュベーション事業、人材マッチング事業の3つに分類している。詳細は以下のとおりである。 1. 事業別概要 (1) プロダクト事業 プロダクト事業では、データ分析に基づくデジタルビジネスの改善活動について、同社が蓄積してきたナレッジとテクノロジーを活用し、自動化した自社プロダクトである「AIアナリスト・シリーズ」を提供している。主なプロダクトは、「AIアナリスト」「AIアナリストSEO」「AIアナリストAD」である。 「AIアナリスト」は、顧客のWebサイトの中に蓄積されているデータを収集し、デジタルマーケティングに関するデータ分析、課題抽出やインサイトの導出から具体的な改善策の提案までを自動化するサービスをSaaSで提供している。顧客がGoogleアナリティクス、Meta広告、Yahoo!広告などから得られる自社Webサイトのアクセス解析データなどを同サービスと連携するだけで、AIがユーザーの行動データを分析し、レポートの作成、改善策の提案、実施した改善施策の効果測定などを自動化することができるため、顧客のデジタルマーケティングにおけるPDCAの高速化を実現する。行動データをレポーティングして「見える化」するだけでなく、現状から改善すべきポイントを具体的に示して「分かる化」することに重点を置いている点が特徴である。また、同サービスは無料でサービスを利用開始することができるフリーミアムモデルを採用しており、基本機能を無料で提供するかわりに、同社は顧客が保有するWebサイトの行動データを獲得している。同サービスには有料版もあり、月額利用料金は10万円(税抜き)からである。 「AIアナリストSEO」は、SEOによる集客の拡大及びコンバージョン(問い合わせ、商品の購入など、Webサイトにおける最終的な成果・目的)の改善などを意識し、検索上位を獲得するために、ウェブサイトの構造を修正するテクニカルSEOと、記事コンテンツを顧客に代わって制作する、コンテンツSEOとを、ワンストップで支援するサービスである。コンテンツSEOとは、見込み客の疑問や関心に沿ったコンテンツを提供し、見込み客を引き寄せ、最終的に自社製品やサービスの購買へと導くマーケティング手法である。コンテンツマーケティングにおいて重要なポイントは、キーワードの選定、コンテンツの検索順位、Webサイト内におけるコンテンツの設置場所の選定である。同社はテクニカル面及びコンテンツ面のそれらに関するコンサルティングからコンテンツの作成までをワンストップで提供している。同社はコンテンツSEOにおいて、生成AIの活用を行っており、すでに顧客向けのコンテンツ納品にも同社がチューニングした生成AIを利用して作ったコンテンツを納品している。同サービスの月額利用料金は30万円(税抜き)からである。 「AIアナリストAD」は、コンバージョンを増やすためのWeb広告の運用を代行するサービスであり、顧客の属性に合わせて検索連動型広告、SNS広告、記事広告など多様な広告媒体を横断的に提案し、最適化を図る。「AIアナリスト」と「AIアナリストAD」を同時に導入することにより、ただ自社サイトへの訪問数を増やすWeb広告ではなく、コンバージョンを増やすための「Web広告とWebサイトの一体運用」を顧客に代わって行い、広告効率を高める。同サービスを利用することにより、顧客はコンバージョンにつながらない広告費の削減、CVR(Conversion Rate:Webサイトの訪問者数に対してコンバージョンした割合)の向上を期待することができる。 (2) インキュベーション事業 インキュベーション事業では、企業のデジタルマーケティングに関する戦略策定から実行に至るまで伴走型のコンサルティングサービスを提供している。同事業は同社の祖業であり、これまでのナレッジの蓄積を生かし、事業全体の再構築、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)設計、組織設計、オペレーション構築・運用などのコンサルティングサービスを提供している。継続的に顧客から「AIアナリスト」を通じて共有される最新のPDCAデータから過去に成果が出ることの多かった事例を抽象化した「勝ちパターン」を見出し、最も効果を見込むことができる施策を短時間・少工数で提供できることが特徴である。 2019年2月には、社内研究所である「WACULテクノロジー&マーケティングラボ」を立ち上げ、AIやマーケティングを専門とする大学教授や民間企業のスペシャリストなど外部の有識者を顧問に迎え、先端テクノロジーの導入とナレッジの蓄積に注力している。このような活動から得られたナレッジを「AIアナリスト・シリーズ」などの新規ソリューションの立ち上げ及び「AIアナリスト・シリーズ」の機能拡張などに生かしている。 (3) 人材マッチング事業 人材マッチング事業では、専門性を持つマーケティング人材のスキルやリソースを最大活用するフリーランス向け人材マッチングサービス「Marketer Agent」及びマーケティングに特化した転職支援サービス「Marketer Agent 転職」を提供している。主なサービスはマッチング、アップスキリング、コラボレーションである。 マッチングは、3万社以上の豊富なマーケティング部門を中心とした顧客ネットワークを基に、企業とフリーランスのマーケターをマッチングする。企業側は知らないフリーランスに重要な業務を任せることにハードルがあるが、企業の課題を把握し、かつマーケターの特性も把握している同社が企業とマーケターの間に入ることにより、安心して任せることができる。また、フリーランス側はマーケティング支援を本業とする同社が間に入ることにより、専門知識を基に案件や専門スキルの目利きを徹底し、ミスマッチを回避することができる。また、フリーランス活用から正社員採用へとステップを進める企業向けには「Marketer Agent 転職」により、企業が欲する人材の正社員紹介を行う。 アップスキリングは、同社が独自に収集した約4万サイトのデータ及び1万超の成功事例・失敗事例のデータにより蓄積したノウハウを、研修やOJTの形でマーケターに提供する。 コラボレーションは、マーケターと同社の協業により企業の課題解決を推進する。また、マーケター同士の連携を進め、マーケター間での情報共有や案件の相互紹介などの機会を創出する。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林拓馬) 《HN》 記事一覧 |