携帯版 |
![]() |
![]() |
|
フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/03/24 16:18, 提供元: フィスコ フルテック Research Memo(8):2030年12月期に向けて技術開発型販社への転換を図る(1)*16:18JST フルテック Research Memo(8):2030年12月期に向けて技術開発型販社への転換を図る(1)■フルテック<6546>の中長期の成長戦略 フルテック<6546>は、水平・垂直・“プラスα”の3本の成長軸で成長戦略を描いている。水平方向への成長戦略とは、市場領域の拡大だ。東京を中心とした関東地区におけるシェアアップと、中部・西日本エリアなど販売・保守サービス拠点の未進出エリアへの事業拡大を目指す。垂直方向への成長戦略とは、事業領域の拡大だ。ストック市場の開拓及び商品開発力の強化を目指す。ストック市場であるリニューアル・メンテナンス市場において、エンドユーザーへの営業力の強化、トータルリニューアルの推進、「Fi-R」の契約率向上によるローコストで効率的なメンテナンス体制の構築などに注力する。“プラスα”の成長軸とは、新たな事業領域の拡大だ。新たな価値を付加した自動ドアの提案や、自動ドア以外の新商品の開拓を目指す。 1. Vision2030 同社は、上記の成長戦略をベースにした「Vision2030」を、2024年11月に公表した。「下請け型企業から技術開発型販社への転換」を「2030年に目指す姿」とした。商品開発力を強化し、開発見込み型企業へシフトすることを目標に掲げる。数値目標として、2030年12月期に売上高200億円、経常利益20億円、ROE10%以上を掲げ、成長戦略と組織戦略により達成する計画だ。成長戦略としては、「新商品・新サービスの開発」「収益構造の改革」「事業領域の拡大」「積極的なM&Aの実施」を進める。組織戦略としては、「成長市場/市場戦略遂行に最適な組織・体制づくり」「戦略を遂行できる専門人材の育成・獲得」「多様な人材の雇用によるマンパワー確保」「従業員エンゲージメント向上の為の諸制度・環境づくり」を進める。 (1) 成長戦略 a) 新商品・新サービスの開発 昨今、自動ドアに対するニーズは、感染症対策としての非接触ニーズや、SDGs対応によるハンズフリーニーズ、低炭素社会の実現に向けた省エネニーズなど多岐にわたっており、将来的に自動ドア市場及びリニューアル市場の双方にニーズの多様化が一層進んでいくと考えられる。同社では、これまでも他社との共同開発により「eメディアドア」や「ソーシャル アイ」「ミライロドア」など、新機能を備えた商品をリリースしてきた。今後は、連結子会社のワイズ・コーポレーションの得意分野であるセキュリティや制御技術を活かした新商品の開発と既存商品の改良を進めていく。 b) 収益構造の改善 現在、自動ドア・建具関連事業の新規市場では、施主・デベロッパーや設計事務所から元請のゼネコン・サッシメーカーに同社を推薦してもらい、元請から受注するBtoBの取引が主体となっている。しかし、メンテナンス・リニューアルのストック市場においては、施主や管理会社から直接受注するBtoCの取引となっているため、収益性が高い。2024年12月期は売上に占めるBtoCの割合が53%だが、これを2027年12月期には58%、2030年12月期には61%まで高めていく方針だ。そのために、市場規模が大きく、自動ドア据付台数のシェアが15%(同社試算)にとどまる首都圏のストック市場を深掘りしていく。2025年3月には関東地区14番目の拠点として、つくば営業所を開設した。メンテナンスでは、保守契約台数を増強する。2024年12月期末の92,048台を2030年12月期末には101,000台以上に伸ばす計画だ。具体的には、「Fi-R」を拡大させ、ローコストで効率的なメンテナンス体制の構築に取り組む方針だ。同社にとっては、保守要員の生産性向上、労務コストの低減、ひいては収益力の強化につながる施策だ。そのほか、保守要員にウェアラブルカメラを装着させ、現場での修理・点検作業について札幌コールセンターの技術者から指示を受ける取り組みを開始するなど、保守要員の早期戦力化、保守サービスの効率化に取り組んでいる。 需要掘り起こしのため、エンドユーザーとのつながりを創出・強化する施策にも取り組む。同社は、既存顧客である施主・オーナー向けと設計事務所向けに、自動ドアの情報確認や修理依頼などを簡単に行える機能を提供し、同社から安全利用や新商品紹介などの情報発信を行う「ポータルサイト」を構築している。また、2025年2月には修理・保守サービス、リニューアルに関する「プロモーションサイト」をリリースした。これらを活用することでダイレクトマーケティングを強化し、顧客基盤の拡大に注力する。 c) 事業領域の拡大 既存のカバーエリアに加えて、中部・西日本エリアなどの未進出エリアへ販売拠点を展開していくことを目指す。2021年1月に進出した九州地区では、着実に実績を積み上げている。九州地区での成功体験を横展開していく方針だが、同社だけの経営資源では限界があるため、現地の自動ドア・建具販売業者などと連携して展開していくことを想定している。また、同社では、自動ドア駆動装置、建具、セキュリティシステムなどを個別リニューアルするのではなく、1つの自動ドアユニットとしてリニューアル受注するトータルリニューアルを推進している。2023年12月期の自動ドア関連事業のリニューアル売上2,950百万円のうち、トータルリニューアルは533百万円であった。今後はトータルリニューアルからさらに踏み込んで、床・壁工事、宅配ボックスの設置、駐輪場のリニューアル、オートロックシステムなど、エントランス全体をリノベーションしていく。 d) 積極的なM&Aの実施 これらの成長戦略を展開していくためには同社の経営資源だけでは限界があるため、積極的なM&Aを実施していく。2024年6月にM&A推進室を新設しており、案件の収集・検討を進めている。ターゲットは、商品開発の内製化につながるセキュリティやセンサー技術などを保有するシステム開発企業や、拠点拡大につながる現地の自動ドア・建具販売業者、リノベーション事業の推進につながる技術、人的資本、顧客を保有する中小工務店などとしている。積極的なM&Aを実施することで、開発力の強化、新規事業創出につなげる。ワイズ・コーポレーションのM&Aで第一歩を踏み出しており、そのノウハウを次の成長に活かしていくことが期待される。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘) 《HN》 記事一覧 |