携帯版 |
![]() |
![]() |
|
フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/03/21 17:59, 提供元: フィスコ ADワークスグループ Research Memo(6):ROEの改善とPER向上に向けた施策を打ち出す(1)*17:59JST ADワークスグループ Research Memo(6):ROEの改善とPER向上に向けた施策を打ち出す(1)■今後の成長見通し 2. 企業価値向上に向けた成長戦略 ADワークスグループ<2982>は2期連続で過去最高業業績を更新するなど業績が順調に成長しているにもかかわらず、2025年3月7日時点でPBRが0.6倍に留まっている状況を鑑み、「企業価値向上に向けた成長戦略」を策定し、各種施策を実行することでPBR1倍超を目指す方針を明らかにした。 PBRの向上に向けては、資本収益性(ROE)の改善や期待成長率の増加、株主資本コストの低減に取り組む。ROEの水準については、2027年までに13〜14%(2024年12月期9.5%)に引き上げることを目指しており、以下の施策を実行する。 (1) 不動産小口化事業の成長加速 不動産投資商品として、不動産特定共同事業法に基づく不動産小口化商品の市場規模が拡大傾向にある。業界最大手のFPG<7148>や2番手の青山財産ネットワークス<8929>を加えた3社合計の売上推移を見ると、2021年度の約402億円から2024年度は約1,179億円と3年間で約4倍に急成長している(年率43%成長)。低金利下が続くなかで少額から投資が可能で安定した利回りが期待でき、かつ相続税対策としても活用できる投資商品としての認知度が高まり、投資家層が広がったことが要因だ。大手2社と比較すると同社の売上規模はまだ小さいものの、3年間の年平均成長率では61.7%と最も高くなっており、今後も市場の拡大が続くなかで高成長が期待できる事業として注目される。 同社の「ARISTO」シリーズは、徹底した市場調査と法的精査に基づき物件を購入し、バリューアップ工事やテナント誘致などにより資産価値を向上させたうえで、全国の投資家に金融機関や会計事務所等400を超える販売パートナーを通じて効率的に販売している。 物件仕入に25人以上、商品開発に20人以上の専門人材(一級建築士、一級建築施工管理技士、リーシング、テナント交渉、遵法性等の専門人材)を配置し、1棟再生販売事業と高度に連携した模倣困難なオペレーション体制による目利き力と仕入力、バリューアップのノウハウにより良質な商品供給を実現可能としているのが同社の強みとなっている。実際の運用商品の稼動率も2023年度以降、2年連続で99.9%と高水準を達成しており、実績配当利回りも発売した全17商品平均で3.05%と販売時想定利回り※を上回っている。こうした実績から、販売パートナーだけでなく上場REITや外資系不動産ファンド等からの継続取引も増えるなど投資家からも高い評価を受けており、「ARISTO」シリーズのブランド力や販売力は年々向上している。販売パートナーから見れば取扱い商品社数には限りがあるため、先行者利益が生じやすく、大手の寡占化市場となる傾向にあり、同社にとっては不動産小口化市場の成長を取り込める好機が到来していると言える。 ※ 稼働率95%稼働時〜100%稼働時で2.81%〜3.01%を想定。 同社は販売力をさらに強化するため、2025年1月に大手法人提携推進専門組織を新設し、販売チャネルを開拓する方針だ。現状は先行2社と差があるものの、今後は不動産専業の強みを生かしてキャッチアップするものと期待される。事業期間が数ヶ月と短い不動産小口化事業の売上が拡大すれば、総資産回転率の上昇につながり、ROE向上に寄与することになる。 (2) 再生販売事業の物件価値向上力を強化 1棟収益不動産販売事業については、20年以上の実績によって培われた目利き力や仕入力と、不動産価値を最大限に高めるバリューアップ能力を強みとして、エリアの拡大やさらなる物件価値向上(バリューアップ)に取り組むことで、堅実な成長を見込む。 エリア展開では、物件の約7割を首都圏で占めており、関西2割、福岡1割の構成となっている。関西については2024年2月に大阪営業所を大阪支店に昇格して営業体制を強化した。福岡についても2025年1月に営業所を開設し、取扱い物件数を増やす方針だ。福岡は近年、人口が増加傾向にあり、地理的にアジアの玄関口として観光客を多く来日する地域の1つということもあり、外国人投資家からの注目度も高く体制を強化することにした。首都圏での取り扱い物件数も増やしていくため、全体の構成比は変わらないものの、「ARISTO」シリーズも含めて仕入力の強化により、商品ラインナップの拡充につながるものと見られる。 また、バリューアップについては物件の専用部だけでなく共用部も含めたバリューアップを実施することで、物件の価値を向上し賃料のアップを実施する事例が増えている。2025年12月期は「魅力的な利用空間の提供」「自社サービスの社会的意義」を追求しながら、10件以上のバリューアップ物件について、賃料改定を実施し販売限界利益率及び当期純利益率の向上に取り組む方針だ。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》 記事一覧 |