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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/03/18 15:04, 提供元: フィスコ Jトラスト Research Memo(4):金融3事業で業績改善が進み、全体の業績に大きく寄与*15:04JST Jトラスト Research Memo(4):金融3事業で業績改善が進み、全体の業績に大きく寄与■業績動向 (3) 東南アジア金融事業 Jトラスト<8508>の2024年12月期の営業収益は47,740百万円(前期比24.3%増)、営業利益は1,509百万円(前期は1,019百万円の損失)となった。営業収益は、銀行業における貸出金の増加に伴う貸出金利息収入の増加等により増収となった。営業利益は、優良な貸出金の積み上げによる利息収益の増加などにより増益となったが、第4四半期にJトラスト銀行インドネシアにおいて発生した延滞債権に対し、貸倒引当金を計上したことで営業利益は計画比2億円の未達に終わった。この結果、営業利益率は3.2%に改善した。今後も、延滞債権の正常化に向けた回収及び与信管理を強化する。 a) Jトラスト銀行インドネシア Jトラスト銀行インドネシアにおける、2024年12月期の営業収益は299億円(前期比65億円増)、営業利益は11億円(同1億円増)となった。年末に向け複数の大口債権が一括完済されたことにより、12月の貸出残高は2,600億円に減少した。不良債権比率は1.95%の低位で推移し、貸倒引当金を控除したネットでは1.43%であった。リスクマネジメントを強化した成果が表れている。今後はJトラストグループ外からの増資を基本とし、増資のタイミングに合わせて貸出を実施する計画だ。また、2025年は超優良企業にフォーカスした貸出を実施し、筋肉体質を目指す。 インドネシアのサービサーであるPT JTRUST INVESTMENTS INDONESIA及びPT TURNAROUND ASSET INDONESIA(以下、ターンアラウンドアセットインドネシア)2社の請求債権残高は、不良債権の買取りが順調に進んだことから、2024年12月末には1,205億円と順調に増加した。韓国系の金融会社で、主に消費者ローンの不良債権回収を担っているターンアラウンドアセットインドネシアは計画どおり設立後3年半で黒字化し、今後は利益貢献を見込んでいる。 b) Jトラストロイヤル銀行 カンボジアのJトラストロイヤル銀行では、2024年12月期の営業収益は158億円(前期比20億円増)、営業利益は21億円(同8億円増)となった。貸出金利の上昇及び円安の影響もあり、増収増益となった。貸出残高は引き続き戦略的にコントロールして質の向上を進めており、2024年12月末には1,636億円であった。カンボジア経済が中国経済悪化の影響を受けていることを主因に、不良債権比率は7.41%に高止まりしているが、貸倒引当金を控除したネットでは1.95%である。引き続き担保物件の競売や法的手続き等による回収とモニタリングを強化し、不良債権比率の抑制に努める方針だ。 (4) 不動産事業 不動産事業については、主にJグランド(株)、グローベルス<193A>及び(株)ライブレントが国内で、Prospect Asset Management, Inc.が米国ハワイ州で、それぞれ不動産事業を行っている。Jグランドとグローベルスが大半の利益を稼いでいる。2024年12月期の営業収益は、Jグランドにおける不動産販売件数の増加やライブレントの子会社化により不動産販売収益が増加したことにより、17,396百万円(前期比23.9%増)の増収となった。ただ、営業利益は前期に計上したミライノベートの吸収合併により生じた負ののれん発生益10,113百万円の剥落に伴い、361百万円(同96.7%減)に減少した。営業利益は計画を8億円未達であったが、うち1.2億円は2月に期ずれで2025年12月期に利益計上する予定である。 Jグランドの2024年12月期の売上高は93億円(前期比47%増)となった。2025年12月期には売上高114億円を目指す。新築マンションのJ-ARCシリーズは、数億円単位の大型相続税対策として富裕層に人気である。グローベルスは、土地・戸建・マンション・収益物件・クラウドファンディングに携わる総合不動産会社として着実に事業規模を拡大している。2024年6月にTOKYO PRO Marketに株式上場を果たし、今後の成長に向けた調達力の向上が見込まれる。 (5) 投資事業 投資事業については、主にJTRUST ASIA PTE. LTD.(Jトラストアジア)が投資事業及び投資先の経営支援を行っている。2024年12月期の営業収益は11百万円(前期比92.9%減)となり、またGroup Lease PCLにかかる訴訟の判決により同社からの回収金を計上したことで1,595百万円の営業損失(前期は2,072百万円の損失)となった。2024年中の回収を見込んでいた約608百万円は、2025年12月期第1四半期に期ずれ計上することとなった。同社では裁判で争った金銭債権に対して既に全額貸倒引当金を計上しており、将来の回収金は利益計上される。 3. 財政状況 2024年12月期末の資産合計は、前期末比55,752百万円増の1,270,467百万円となった。これは主に韓国の貯蓄銀行における内国為替決済金額の減少等によりその他の金融資産が30,523百万円減少した一方で、現金及び現金同等物が19,587百万円、銀行業における有価証券が5,823百万円、銀行業における貸出金が53,605百万円増加したこと等による。負債合計は、同47,312百万円増の1,093,811百万円となった。これは主に銀行業における預金が39,527百万円、借入金の増加等により社債及び借入金が7,790百万円増加したことによる。資本合計は、同8,440百万円増の176,656百万円となった。これは主に自己株式の消却等により資本剰余金が7,447百万円減少した一方で、自己株式の消却及び取得等により自己株式が5,589百万円増加したことに加え、親会社の所有者に帰属する当期利益を6,040百万円計上したことにより利益剰余金が4,255百万円増加したこと、海外子会社等の換算差額の増加等によりその他の資本の構成要素が3,284百万円増加したことによる。以上の結果、安全性指標である2024年12月期末の親会社所有者帰属持分比率は12.4%となり、2024年3月期に東証プライム・スタンダード・グロース市場に上場する銀行業の4.5%、その他金融業の6.8%を上回る安全性を確保している。また、今後は利益の積み上げに伴い、ROA・ROE等の収益性指標も上昇すると予想される。 2024年12月期のキャッシュ・フローの状況は、営業活動による資金の増加が17,124百万円となった。これは主に銀行業における貸出金の増加額が36,422百万円と資金が減少した一方で、銀行業における預金の増加額が9,872百万円、その他の金融資産の減少額が20,865百万円、制限付預金の減少額が13,480百万円とそれぞれ資金が増加したことによる。投資活動による資金の減少は7,403百万円となった。これは主に銀行業における有価証券の取得による支出174,201百万円が、銀行業における有価証券の売却及び償還による収入171,683百万円を上回ったことにより、資金が減少したことによる。財務活動による資金の増加は2,228百万円であった。これは主に、長期借入による収入32,708百万円が、長期借入金の返済による支出27,888百万円を上回ったことにより資金が増加したことによる。以上の結果、自由に使える資金を示すフリー・キャッシュ・フローは9,721百万円に改善した。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希) 《HN》 記事一覧 |