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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/03/17 11:02, 提供元: フィスコ 大幸薬品 Research Memo(2):2025年12月期は需要堅調を予想するも、先行投資により減益を予想*11:02JST 大幸薬品 Research Memo(2):2025年12月期は需要堅調を予想するも、先行投資により減益を予想■大幸薬品<4574>の今後の見通し 2025年12月期は、売上高で6,300百万円(前期比0.1%増)、営業利益で215百万円(前期比65.9%減)、経常利益で200百万円(同70.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益で300百万円(同66.6%減)を予想する。売上高はほぼ横ばいも、中長期的に取り組む供給体制の安定化施策に伴う売上原価の増加により、減益を見込む。 医薬品事業の売上高は5,745百万円(前期比0.6%減)と横ばいを見込む。国内市場では、堅調な需要が予想され、2024年12月期に行った値上げのプラスの影響も残るが、「正露丸」において中期的な供給体制強化に向けた取り組みの一環として製造設備の更新を予定しており、一時的に生産量が減少する見込みである。海外でも中国・香港・台湾の需要は旺盛であり、供給体制を整えて対応する。 感染管理事業の売上高は前期比8.1%増の550百万円を予想する。「クレベリン」の属する除菌市場は売上予測が難しい状況が続いているが、これまでの取り組みにより市場におけるプレゼンスは回復傾向にあり、直近の繁忙期には業績の底打ちも確認できている。引き続き「クレベリン」の主成分である二酸化塩素の有効性や安全性に関するエビデンス強化による信頼回復に取り組むとともに、広告宣伝費等のコストコントロールを強化し、収益性の改善を目指す。 売上総利益は、供給体制の強化施策に伴う修繕費等の関連費用計上による売上原価の増加(330百万円)や、物価上昇等に伴う原材料費・資材費の値上がりの影響(130百万円)などにより、減益を見込む。販管費は引き続き費用の効率的な投下とコストコントロールを強化し、2024年12月期並みを見込む。このため営業利益は、利益を確保するものの、減益となる。なお親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益等を含んでいる。 弊社では医薬品事業の市場環境が良好なこと、これまでの供給体制の強化策が成果を上げてきたこと、2024年12月期の国内医薬品の価格改定の効果が2025年12月期も続くこと、感染管理事業での「クレベリン」売上底打ちなどの点から、期初計画はやや保守的な“必達計画”であると考えている。 ■トピックス 医薬品事業では中期的な医薬品供給量増加プロジェクトを始動 1. 医薬品事業:中期的な医薬品供給量増加プロジェクトを始動 同社は供給課題の解消に向け、2024年12月期に生産体制の再編に着手し一定の成果を上げてきた。2025年1月からは「正露丸」の中期的な供給量増加プロジェクトを開始した。「生産能力向上」「吹田工場の強靭化」「生産設備の移設・更新」の3プロジェクトを段階的に進め、2029年度には現状の約1.5倍の生産能力を確保し、すべての医薬品アイテムの供給課題解消を目指す。国内向けの「正露丸」については、現在は一部のSKUに絞って出荷しているが、早期に200粒及び400粒を含めたフルラインナップ供給を目指す。海外向けの「正露丸」については、海外市場では「正露丸」が売上構成の87%を占め(国内では43%)、「セイロガン糖衣A」よりも人気が高い。2025年12月期も引き続き一部SKUに絞った出荷となるが、中期的にフルラインナップ供給を目指す。なお「セイロガン糖衣A」については、国内向け・海外向けともに2024年12月期に供給課題への対応が完了したため、2025年12月期は順次SKUを増加させ、フルラインナップでの出荷を再開するとともに、並行して販促を強化するとしている。 2. 感染管理事業:業界団体を通じた浮遊ウイルス・菌測定の規格づくりを目指す(JSA規格) 同社は、濃度を維持したまま市場流通が可能な二酸化塩素製品を初めて販売した企業であり、特許技術である低濃度二酸化塩素を用いた液剤、ガス発生剤、及びガス発生装置を展開する「クレベリン」シリーズの販売を通じて、市場の発展をリードしてきた。2021年には、同社社長の柴田高(しばたたかし)氏が会長を務める(一社)日本二酸化塩素工業会の活動により、「二酸化塩素を用いた除菌製品の二酸化塩素ガス発生量の測定方法」がJIS規格で制定された。2025年中には、「二酸化塩素ガスを用いた浮遊細菌除菌・浮遊ウイルス除去測定方法」に関するJSA規格を制定する予定としている。このJSA規格は浮遊ウイルス・菌の測定に関する日本で最初の規格であり、制定されると製品性能の評価基準が確立される。浮遊ウイルス除去市場の科学的根拠が明確になり、「クレベリン」への信頼性の向上が期待される。同社ではJSA規格成立後に、本規格に基づいた検証試験を実施するとともに、パッケージや広告表示のコミュニケーションワードを刷新を計画している。 ■株主還元 2025年12月期の配当は未定 同社は、堅実な成長性を維持する事業展開と安定的な経営体力維持のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を維持することを基本方針とし、連結業績も反映した配当政策としている。2016年3月期から2020年12月期は5期連続で増配し、配当性向は23.0%から28.0%と、好調な業績を背景に手厚い株主還元を行ってきた。2021年12月期から2023年12月期までは3期連続で赤字決算となったため、中間配当及び期末配当は無配となった。2024年12月期も業績回復の途中にあることから無配とした。2025年12月期の配当予想は未定で、業績進捗や財務状況を見極めたうえで判断するとしている。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫) 《HN》 記事一覧 |