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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/02/18 13:09, 提供元: フィスコ ネクスグループ Research Memo(9):高成長のIoTとデジタルコンテンツ領域に注力。利益の黒字見込む(1)*13:09JST ネクスグループ Research Memo(9):高成長のIoTとデジタルコンテンツ領域に注力。利益の黒字見込む(1)■ネクスグループ<6634>の今後の見通し 1. 2025年11月期の業績見通し 2025年11月期の連結業績は、売上高が3,349百万円(前期比57.2%増)、営業利益が29百万円(前期は246百万円の損失)、経常利益が50百万円(同230百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益が16百万円(同289百万円の損失)を見込んでいる。参考指標として、M&Aによるのれん代償却額を加味したEBITDAは270百万円としている。積極的なM&Aにより事業構造改革後の売上減少は解消されており、のれん償却額を上回る利益を生み出すことで各段階利益の黒字化を掲げている。弊社では、同社が収益力の強化に向けた各種施策を着実に進めていることから、黒字化の可能性が高まっていると見ている。 メタバース・デジタルコンテンツ事業では、電子書籍市場の成長を背景に、新しい販売ルートの開拓や主力コンテンツのWebtoon化、アニメ化・映像化作品の大型キャンペーンを通じて収益の拡大を目指す。また、IoT関連事業においては、5G及びローカル5G市場の成長を見据えた製品開発が進められており、特に「UNX-05G」や5G RedCap対応端末を通じて、通信の高度化に伴う市場需要を取り込む戦略が進行中だ。さらに、AI技術を活用したソリューションの開発と認定取得を推進し、様々な業種・業態の課題解決に向けた取り組みを進めている点も注目に値する。ソリューション事業では、外食チェーン店やコスメティックショップ向けの商品販売の拡大に加え、環境問題や人口増加に対応した新たな事業領域に取り組む予定だ。暗号資産・ブロックチェーン事業では、NCXCを利用したトークンエコノミーの形成に加え、GameFiプラットフォームの構築を通じて市場の成長を取り込む計画だ。なお、M&Aによるのれん代償却額の影響は依然として残るが、対象事業については、2026年11月期以降の貢献が期待される。 これらの点を踏まえると、同社は複数の成長市場をターゲットとした積極的な施策を展開しており、事業全体として将来的な収益拡大が見込まれる。特に、IoT及びデジタルコンテンツ領域における成長ポテンシャルは高く、同社の戦略が実を結べば、さらなる業績向上が期待できると弊社では見ている。 2. セグメント別見通し (1) メタバース・デジタルコンテンツ事業 子会社の実業之日本デジタルが属する電子書籍市場は、2023年には6,500億円規模に成長した。しかし、コロナ禍による巣ごもり需要が落ち着き、成長率は鈍化している。そのため、引き続き電子書店での販売に注力しつつ、新たな販売ルートやチャネルの開拓にも力を入れていく。主力コンテンツ「静かなるドン」については、韓国のスタジオとの共同出資でWebtoon版「親分には二つの顔がある 静かなるドン韓国リメイク版」のリリースを開始した。Webtoon市場は急速に拡大しており、2022年度の電子コミック市場規模5,199億円のうち約10%がWebtoon作品によるものである。同市場のさらなる拡大を見越して、新たなWebtoon作品の投入を進め、新規読者の獲得を目指す。加えて、アニメ化や映像化が決定している「霧尾ファンクラブ」や「天久鷹央シリーズ」に合わせた大型キャンペーンを実施する予定だ。文芸・実用書ジャンルにおいては、Amazon Kindle Unlimitedへの投入作品を増やし、潜在読者が作品に触れる機会を提供する。 メタバース分野については、メタバースに必要なVRワールドやVRコンテンツの受託開発案件の受注と、VRゲームコンテンツの開発、ユーザーがメタバースを楽しむためのモーショントラッキングデバイスの開発などに注力する。メタバース市場は黎明期であり、メタバースサービス単体の事業により黒字化している企業は少ない。同社では、メタバースサービスを提供するのではなく、メタバース事業に参入しようとしている企業に対して、VR空間・プラットフォームなどの受託開発を行っている。そのため、市場の黎明期においても、一定の需要を見込めるものと弊社では考える。 (2) IoT関連事業 IoT関連事業では、引き続きネクスが取り扱うIoTデバイスに注力する。特に注目されるのは、第5世代移動通信システム(5G)に対応した「UNX-05G」の販売であり、通信インフラの整備が進むなか、同社の製品が企業や自治体のニーズに応える形で市場に貢献している。5Gは、超高速・大容量通信、低遅延、多数同時接続など、様々なメリットがあり、特にローカル5Gの需要が増加している。今後は、建設現場での建機遠隔操作や、スマートファクトリーの構築、さらには農業の自動化など、活用領域の拡大が期待される。「UNX-05G」は、マルチキャリアの周波数に対応し、Wi-Fi、Ethernetを搭載したバッテリーレスのルーター・モデムで、様々な業界のニーズに応えることができる。さらに、AI/IoT向け通信規格5G RedCapに対応したUSBドングル型データ端末を開発しており、これによりコストやサイズ、消費電力の低減が可能となる。5Gの低遅延や多数同時接続といった機能を生かし、AIロボットソリューション、AIカメラ、ドローン、ウェアラブルカメラなど、LTEではカバーしきれなかったユースケースにも対応できる。5G RedCap対応のIoTモジュールの出荷数は、2024年から2029年にかけて8,000万台に達すると予測されており、今後の成長が期待される。 (3) ソリューション事業 ソリューション事業においては、子会社のケーエスピーが外食チェーンやコスメティックショップなどとの取引拡大を進め、安定的な売上及び利益を積み上げている。ストック型ビジネスとして、商品販売数を増やすことでさらに成長が見込まれ、引き続き取引社数の拡大と、販売数の増加を図る。また、環境問題や世界的な人口増加による原料不足などの課題にも対応し、新たな事業領域に取り組む予定だ。 (4) 暗号資産・ブロックチェーン事業 暗号資産・ブロックチェーン事業においては、引き続きNCXCを活用したトークンエコノミーの形成と価値向上に取り組んでおり、特にGameFi分野における展開が注目される。GameFi市場は、今後10年間の平均成長率で23.7%、2031年には2021年の約8.3倍にあたる74億2,000万ドル(約1兆17億円)に達するとの予測がされている。NCXC GameFiプラットフォームでは、ゲーム性の高いハイパーカジュアルゲームを中心に、簡単にPlay to Earnのゲームに転換できるシステムを提供し、ユーザー数の増加を狙う。今後はプラットフォーム上でゲームタイトルを提供するアライアンス先の開拓にも注力する。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司) 《HN》 記事一覧 |