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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/01/31 13:14, 提供元: フィスコ 戸田工業 Research Memo(4):2025年3月期上期は韓国子会社連結化で増収も、LIB市場低迷で赤字転落*13:14JST 戸田工業 Research Memo(4):2025年3月期上期は韓国子会社連結化で増収も、LIB市場低迷で赤字転落■戸田工業<4100>の業績動向 1. 2025年3月期上期の業績概要 2025年3月期上期の連結業績は売上高14,508百万円(期初計画比892百万円未達、前年同期比14.5%増)、営業損失267百万円(同367百万円未達、前年同期比256百万円の損失拡大)、経常損失266百万円(同616百万円未達、前年同期比1,236百万円悪化し赤字転落)、親会社株主に帰属する中間純損失879百万円(同979百万円未達、前年同期比1,680百万円悪化し赤字転落)となった。報告セグメント別では機能性顔料事業が売上高3,955百万円(前年同期比6.8%減)、共通費控除前営業利益437百万円(同19.8%減)、電子素材事業が売上高10,552百万円(同25.2%増)、共通費控除前営業利益771百万円(同25.3%減)、2セグメントの共通費控除前営業利益は1,209百万円(同23.3%減)となっている。両事業とも収益性が悪化、全社費用が1,476百万円(同7.1%増)と増加幅が小さく、前年同期比で営業赤字が拡大した。 2. 電子素材事業 電子素材事業は売上高10,552百万円(同期比25.2%増)、共通費控除前営業利益771百万円(同25.3%減)となっているが、成長事業として磁石材料、誘電体材料、LIB用材料(正極材料:持分法適用関連会社展開)、次世代事業として軟磁性材料、再生・転換事業としてLIB用材料(前駆体)、ハイドロタルサイトに大別できる。なお全体として共通費配賦後の利益は50百万円程度の営業赤字(同200百万円強の減少)となった。 (1) 磁石材料 売上高6,400百万円(同期比12.3%増)、営業利益率6%(同2ポイント増)となっている。中心となるボンド磁石用のフェライト・希土類磁性コンパウンドが自動車向けの用途拡大などで好調に推移。また中国の連結子会社である江門協立が射出成形ボンド磁石で好調に推移したことが寄与している。収益的にも増収効果に加え希土類などの高付加価値品の構成が高まっていると見られ、収益性が向上、営業利益の絶対額では前年同期比7割弱の増益となった。 (2) 誘電体材料 売上高700百万円(同期比75%増)、営利率2%(同10ポイント増)と収益急回復で営業利益が黒字に転換した。同社製品は主に電極層向け共材を供給しているが、MLCCの小型化、大容量化、高誘電率が求められる中で微細な粒子の粒度を均一にし供給できるため、需要が高まっている。利益面では2024年3月期下期はスマートフォンや自動車生産の不振などで利益低迷していたが、増収効果や高付加価値化で営業利益が黒字転換している。 (3) 軟磁性材料 売上高2,900百万円(同期比2,600百万円増)、営利率-1%(同57ポイント増)となった。同事業は今期から連結化したTDMIの寄与が大半を占める。TDMIとしての前年比では、売上で2割程度の伸び、利益では改善が見られる。TDMIの主たる製品としてインダクタがあるが、インバータやコンバータなどに搭載されるほか、スマートフォンの高機能化による需要増により売上が拡大していると見られる。また軟磁性(ソフトフェライト)材料としてTDK向けなどにも材料供給が増えていると見られる。利益面では増収効果、また同社の100%子会社化でシナジー効果も加わり、収支均衡に近付いたと言えるだろう。 (4) LIB用材料(前駆体) 同材料はカナダの戸田アドバンストマテリアルズInc.が大半を占め、同社にとって再生・転換事業として位置付けられている。売上高は100百万円(同期比1,100百万円減少)、営業利益率-302%と大幅赤字となっている。昨今のEV見直しの影響で次のモデルの投入が後ろ倒しになっている状況に加え、既存ユーザーの仕向け先のEVモデルのライフサイクルも終焉を迎えつつあり、利益面でも大きな赤字計上を余儀なくされている。営業利益の絶対額では売上高100百万円に対し300百万円(同600百万円弱の減少となっている模様)の営業赤字と見られる。 (5) ハイドロタルサイト 同材料は従来、塩ビ安定剤、農業用フィルム保温剤などを主としていたが、堺化学工業<4078>との協業解消で再生・転換事業として位置付けた材料。売上高は400百万円(同期比33.3%減)、営業利益率-29.0%(同9ポイント減)となっている。基本的に協業解消による販売減少の影響が大きく、半導体向けなど高付加価値製品への再生・転換中であり、大幅赤字を余儀なくされている。 3. 機能性顔料事業 機能性顔料事業の売上高3,955百万円(同期比6.8%減)は、収益基盤となっている触媒などと再生・転換事業と捉える着色顔料・トナー用材料に大別される。共通費控除前セグメント営業利益437百万円(同19.8%減)となった。売上面では前々期に連結除外した戸田聯合の影響がなくなったものの、収益停滞が続いている。なお共通費配賦後では200百万円強の営業損失(同期比ほぼ横ばい)となった。 (1) 着色顔料・トナー用材料 再生・転換を図る着色顔料・トナー用材料は、売上高3,200百万円(同期比11.1%減)、営利率-9%(同2ポイント減)となった。このうち複写機/プリンター向けが2,000百万円(同18%増)となったが、それ以外では1,200百万円(同37%減)と路面、建材の着色関連が低迷し、減収となった。利益面では価格是正、原価低減するも、需要減退影響で収益率が悪化した。 (2) 触媒など 収益基盤として拡大を期待する触媒は売上高800百万円(同期比33.3%増)、営利率11%(同5ポイント増)となった。石油化学製品等の合成用触媒、摩擦材などが好調、増収効果で利益率も向上した。 (執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘) 《HN》 記事一覧 |