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株価波動の秘密山田和生著 同友館既存のテクニカル分析ではなく、新しいアプローチの仕方を試みている点で意欲的 である。まず50日高値ライン・安値ラインの設定であるが、移動平均線などよりも 更にシンプルで手書きでも簡単に出来るものでありながら、これまでのテクニカルに はなかったもので、コロンブスの卵といえる。また「順張り」と「逆張り」について の理解は本質に迫っており学ぶべき点が多いが、優れた順張りと逆張りの手法を、複 合的に併用する方法を旨としている。「売り」「買い」のシグナルとともに「休み」 のシグナルも採用している所もユニーク。 しかし、実際に売買を行う者の疑問としては、併用によって、迷ったり、上達がお くれたりするのではないかということがある。「逆張り」「順張り」どちらかに成果 があるのであれば、それ一つで充分ではないか。多くの銘柄からそのシグナルに合致 するものを検索すればいいとも思う。 また、50日高値ライン・安値ラインを主法則としながらも値幅、長大陽線、出来 高、日経平均との連動などをシグナルの目安とする細則が設定されており、実際に売 買するときにはかえって判断に迷う方が多いのではないかとも危惧される。基本法則 がラインによって設定されており、細則によってダマシなどを排除しようとしている 点では、「一目均衡表」と考え方が似ているのではないかと感じた。 最後にチャート分析の宿命として、あらゆる銘柄、或いは商品に通用するものを目 指すために、キザミやダマシの問題を本質的に抱えてしまう欠点がある(この理論も そうである。)。個人投資家の立場からは、多くの銘柄に通用しなくても、自分が売 買する銘柄に通用するチャート分析ならば採用する価値があると思うのだが、そうし た研究はどうであろうか。
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