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米国先物インターネット・トレード深町 健吾著 東洋経済新報社インタ−ネットの発達により、より広大な資産運用の世界が広がっている。 残念なことに、日本の投資家はまだその事実に気づいていない。 米国市場には、新聞やテレビでよく目にするNY株式市場の他に、 NYやシカゴに巨大な先物市場が存在しており、割安な手数料で、しかも、 日本語でそれが利用できるのだ。(これには著者の会社であるシカゴ・ダイレクト社 21世紀の資産運用を語るとき、先物市場は避けて通れない。 伝統的な穀物や貴金属などの商品から、エネルギ−、食品、などの他に、 株式指数、為替、金利、債などの金融商品、それらに関連したオプション商品など、 多彩な商品が米国先物市場にはある。 日本の商品先物市場では、オプション市場が未成熟(ほとんど機能していない)で 、「ロング」か「ショ−ト」かのポジションを持ち、ある期間ポジションを保有して いないと、利益につながらないことから、儲からないといったネガティブな印象がも たれている。 しかし、米国先物市場は、手数料が安く(自由化されている)、倍率も大きいため、 比較的短期間の売買で利益をあげることができる。またオプション市場があるため、 リスクヘッジという点でも利用価値がある。さらに、ストップロスオ−ダ−を入れる などして、リスク管理をしっかり行えば、最悪の事態は避けられる。 私は、商品先物業界で働き、また商品先物市場を利用している1個人投資家のため 、本書が示す米国先物市場を利用する利点に魅せられた。 例えば、「第6章フュ−チャ−ズ、オプション応用編」で、日本で宣伝している外 貨預金 と比較してフュ−チャ−ズ(先物市場)を利用した外貨預金(実質的には為替投資) を紹介している。手数料や為替リスクを考えると、いかに日本の個人投資家が不利な 状況に立たされているかが わかるだろう。そして、先物市場は個人投資家であれ、機関投資家であれ、米国市場 は公平なものであることを理解する。 金融ビッグバンにより、個人のリスク責任のもと、世界のマ−ケットを相手に資産 運用できるように なった。研究と洞察により、21世紀には米国市場で名を馳せる日本人個人投資家が 現れる可能性だってある。 本書はその糸口となる案内書だ。 全般に、広く浅く紹介しているので、続編として、どのように米国先物市場を利用す るか、そのノウハウをもう少し詳細に記述してほしい。また、著者の会社である、シ カゴ・ダイレクト社の紹介も、もっと詳しくてもよかったのではないか。 個人投資家の窓口を広げるために、シカゴ・ダイレクト社における顧客の動向、平均 的な投資金額、主に取り引きしている商品、成功した例、失敗した例などが記載して あれば、初めて米国先物市場に参入する人には励みになろう。 また、「第9章フュ−チャ−ズ取引の基本原則」が役に立つと思った。トレ−ドに 迷った時、悩んだ時はいつでもここに戻れば、解決のきっかけがつかめると思う。 巻末の付録にある先物トレ−ディングのための初級英会話教室を独立した1冊にして はどうだろうか。いくら日本語で取り次いでもらえるといっても、いざというときの ために、最低限の内容は原文で 確認したいものだからだ。 本書の主張は、ただ一つ、個人投資家である利点を生かすには、世界でもっとも公 平で流動性の 高い米国先物市場を機動的に利用することだ、ということにつきると思う。 より機動的な資産運用を試したい方には、本書は絶好の指針を与えてくれるだろう。
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