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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/10/23 10:23, 提供元: フィスコ

日本製鋼所:防衛関連・樹脂製造機械機の拡大でさらなる飛躍を目指すインフラ機械メーカー

*10:23JST 日本製鋼所:防衛関連・樹脂製造機械機の拡大でさらなる飛躍を目指すインフラ機械メーカー
日本製鋼所<5631>は、樹脂製造・加工機械や射出成形機、防衛関連機器を中核とする産業機械事業と、鋳鍛鋼品を中心に電力・原子力部材を供給する素形材・エンジニアリング事業を展開する総合機械メーカーである。国内外に製造拠点を持ち、産業機械では世界トップシェアを誇る造粒機や射出成形機、防衛機器など多様な製品群を提供している。素形材事業では、発電機用ロータシャフトや洋上風力向け部材など基幹インフラ分野で強固な地位を確立しており、長期にわたり安定した需要を背景に収益を拡大している。直近ではEV関連の需要変動など外部環境に影響を受けつつも、全体では複数年にわたり売上高・利益を安定的に成長させている点が特徴である。

同社の強みは、第一に高い技術力とそれを生かした内製化率である。エネルギー設備や防衛設備といった高度な技術・信頼性が求められる機械・部素材の開発から量産まで引き受けるキャパシティを持つ上、足元では広島製作所では新工場建設を進めて超大型押出機の対応力を強化するなど、製造の内製化と効率化を着実に進めている。第二に、事業ポートフォリオの多様性により収益の安定性を確保している点である。社会的インフラである産業機械、防衛、エネルギー関連の複数市場に展開しており、継続的な需要が見込める上に需要変動があってもセグメント間で補完することができる体制となっている。第三に、すべて受注製造の高付加価値生産のみ行っている点である。同社は創業以来約120年間、どのセグメントであっても基本的にすべて国内で受注・生産を一貫して行ってきており、エネルギー設備や防衛関連機器といった高度な製品においても開発や設計の初期段階から顧客と連携して製造工程を企画する関係性を築いてきた。そうしたワンストップの供給体制は、複数企業で分業する場合と比べた時の品質の高さ・顧客からの高い信頼性につながっている。

2026年3月期第1四半期の業績は、売上高67,544百万円(前年同期比41.9%増)、営業利益5,272百万円(同23.5%増)と大幅な増収増益を達成した。産業機械事業は米国関税政策の影響による投資手控えで樹脂機械の受注が減少したものの、防衛関連やその他機械の売上増加により全体では売上高57,747百万円(同51.6%増)、営業利益4,314百万円(同31.1%増)と好調だった。素形材・エンジニアリング事業は電力・原子力需要に対応する投資増により営業利益は1,681百万円(同22.3%減)となったが、受注高11,791百万円(同6.4%増)と中長期的需要増への手応えを示している。通期業績予想は売上高290,000百万円(前期比16.7%増)、営業利益24,500百万円(同7.3%増)となっているが、これはすでに積みあがっている受注残高の高さと整合させた確度の高い見通しとなる。

今後の成長見通しについては、中期経営計画「JGP2028」を推進しており、2029年3月期に売上高3,800億円、営業利益370億円、ROE10%台の達成を目指している。戦略の柱は、(1)現有事業の持続的価値向上(広島製作所の生産能力拡大やグローバル展開)、(2)新規事業の創出・育成(フォトニクスや防衛新技術、複合材料)、(3)人材・無形資産への投資拡充、(4)コーポレートガバナンス強化の4点である。特に現有事業の持続的価値向上においては、樹脂製造機械をしっかりと収益の柱として伸ばしていくことに加え、これから官需用が高まる防衛関連事業も前期末の売上高322億円から4年間で800億円にまで拡大することを計画している。そのために全社体制でリソースを適切に配分する体制も整っており、国内の各所に持つ拠点・工場への投資と技術者の配置を柔軟に調整しながら流動的な需要を捉えていく。また、次世代半導体材料といわれる窒化ガリウム生産の研究や既存製品を応用したSIC半導体処理装置などの開発も進めており、ハイテク産業への展開も幅広く進めている。

株主還元については、配当性向30%から35%への引き上げ、DOEの下限を2.0%から2.5%にすることを目標としており、安定配当を重視しつつ増配を進めている。2025年3月期の1株配当は86円、2026年3月期予想は88円と着実に増配を継続している。今後も成長投資と並行し、安定的な株主還元を実施していく方針である。

総じて、同社は産業機械と素形材の両事業において安定成長基盤を築き、積極的な投資による競争力の強化と、高付加価値な新事業の開発を進めている点が評価できる。防衛・エネルギー・資源循環といった長期需要の追い風を受ける事業領域を強みに、今後の成長と企業価値向上に注目していきたい。


《HM》

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