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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/09/11 13:06, 提供元: フィスコ

電算システムHD Research Memo(6):2025年12月期中間期は増収増益(2)

*13:06JST 電算システムHD Research Memo(6):2025年12月期中間期は増収増益(2)
■電算システムホールディングス<4072>の業績動向

2. セグメント別業績
(1) 情報サービス事業
売上高は19,560百万円(前年同期比7.4%増)、営業利益は243百万円(同1.2%減)となった。計画進捗率は、売上高は46.2%と堅調なものの、営業利益は28.6%と遅れが生じた。売上については、受注したGIGAスクール案件でのハード導入が計画どおりに進まず商品及び製品販売の計画進捗は低いものの、Google関連を中心にクラウドサービスが堅調な推移を見せ、SI・ソフト開発部門の売上高は14,252百万円(同8.2%増)と増収となった。一方、利益面は2025年5月に契約解除した不採算案件で中間期に受注損失引当金の繰り戻しと、工事進行基準で計上した売上のすべてを取り消した影響が大きい。なお、現時点で判明したすべてを中間期に会計処理済みである。長期化した要因は、初期見積もり段階で内容の精査が甘く、想定外のパッケージソフトの不適合が発生して作業量が増え、体制を再構築できなかった点にある。この事案を教訓とし、想定外を念頭に置いた緻密な精査を行うべく、開発当事者とは無関係の第三者が客観的に検証や評価を行う体制を強化する方針で、リスク分析を基に、問題の未然防止、早期対応に役立てる。不測事態の発生確率が高い長期大規模案件は収益寄与のみならず、SIerの技術やモチベーション向上につながり、組織力や提供品質が一段と向上することも事実で、同社は大型案件への対応は成長に不可欠と捉え、全社を挙げて早期・未然対応を徹底する方針だ。

SI・ソフト開発部門においては、Google関連クラウドサービスを中心に伸長した。Google Workspaceは取引社数が順調に増加し、導入企業数は前年同期比5.0%増の2,226社、Google事業の売上高は中間期単体で前年同期比20.0%増の3,999百万円となった。「Project Gen」では生成AIツール「Gemini for Google Workspace」の導入支援を進めていたが、Geminiが2025年3月からGoogle Workspaceに組み込まれ無償プランとなり、契約更新時に既存顧客向けGoogle Workspaceの単価(ライセンス料)を値上げする形で改定する仕組みとなった。更新に伴う価格改定となるため、2025年12月期業績への反映はそれほど大きくないものの、同事業を支えるGoogle Workspaceの顧客企業のすべてがGeminiユーザーとなることから、「Project Gen」メンバーを中心に専門組織を編成してサポート体制を強化し、Geminiハンズオンのオンラインセミナーを開催している。1年間で2,000人以上に提供しており、ほかにも顧客要望に合わせたワークショップ形式での開催等により良好な顧客リレーションを確保している。顧客の利用拡大が予想され、業務効率化の効果が迅速かつ効果的に浸透することで顧客価値最大化を実現し、アップセル等の拡販につながる好循環に期待したい。また複雑化するAI技術に関する顧客対応として、Googleとの強固な関係性から取得できる最新のAI Agent情報を、サポートとともに顧客へ公開、提供しており、同社の優位性となっている。

2025年6月には、Google CloudのAIエージェント実行環境「Google Agentspace」の導入から活用までを支援する2つのパッケージを提供開始した。「Google Agentspace」はデータ分析・予測を超え、情報に基づき自律して思考・実行するAIエージェントを構築・運用できるプラットフォームで、複数システムを横断するデータ入力や問い合わせ対応の自動化等業務へ対応する。検討するものの導入を躊躇する顧客企業に対し、導入から全社展開まで全面的に支援し、AI機能を最大限に引き出して最適な利活用を促進する。スモールスタート向けに「クイックスタート支援パッケージ」を、自社システムに適合させたAIエージェント構築等本格導入向けに「活用促進支援パッケージ」を揃え、様々な顧客層のニーズに応える。さらに、「Google Agentspace」とGoogle Agentspaceが未対応のクラウドシステムを連携して顧客の効率的な運用を実現するため、2025年8月に「Google Agentspace」と(株)スリーシェイクが提供するクラウド型データ連携ツール「Reckoner」の連携サービスを提供開始した。これにより、顧客はそれぞれのクラウド環境でAI活用が可能となり、AI導入ハードルが低くなることで同社が提供する「Google Agentspace支援パッケージ」の需要の高まりにも期待したい。

Google Maps関連では、大手宅配業者との実証実験が進行中で手応えを感じているようだ。ほかにも2025年2月に子会社のゴーガが開始したソフトバンク等との協業では、ゴーガのダッシュボードを基盤に、人流データや売上予測モデルを利用可能にした「出店ポテンシャルマップ(仮称)」の提供を開始した。消費者購買行動や需要変化を捉えたデータの提供により戦略的な出店計画を支援する。受注、納品のほか、新規案件のオファーを受ける等順調な滑り出しのようで協業による新たな展開に注目したい。

BPO事業は、売上高が前年同期比15.2%増の売上高1,837百万円となった。請求書作成代行サービスの新規顧客獲得が順調で処理件数が前年同期比7.4%増加した一方、データエントリと送り状印字代行関連が減少した。横ばい推移のコールセンターについては、2025年6月に受注代行業務の新メニュー「EZASSIST FAX受注自動読取」を提供開始し、収益底上げに向け既存顧客を中心に販促活動を進めるほか、新シリーズ展開に向けたサービス開発を始動したようだ。

(2) 収納代行サービス事業
収納代行サービス事業の売上高は12,708百万円(前年同期比5.7%増)、営業利益は1,393百万円(同7.2%増)と増収増益となった。主力の収納・集金代行サービスで地方自治体を中心に新規顧客の受注や稼働が順調に進んだほか、コンビニ収納代行サービスでは、2024年12月期第4四半期に稼働開始した案件での取り扱い件数が増加した。収益規模は小さいものの前年同期比95.4%増となったその他の収益には「DSK後払い」が含まれており、通期計画値も前期比2.3倍と事業拡大からの業績寄与が期待される。BNPL(立て替え払い)市場は政府の規制検討等、見通しには留意が必要だが、市場が拡大傾向にあるほか、利益率も高いため動向を注視したい。利益面では、仕入単価が上昇を続けるなか地方自治体向けで順次価格改定を実施しており、契約単価向上を実現した。ほかにも、世界で金融サービスの通信トラフィックを高速処理するNewNet Secure Transactions, Inc.のサービスを利用した決済ゲートウェイ事業では、取引条件や運用体制の見直しによりコスト削減に成功して大幅な増益を見せ、利益を底上げした。なお計画比では売上高50.5%、営業利益52.6%とともに計画どおり進捗した。国際送金サービスの終了に伴う減収を見せた送金サービスは、国内送金サービスに特化した安定的な収益確保を目指している。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)


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