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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/08/18 13:03, 提供元: フィスコ

アドバンクリエ Research Memo(3):国内最大級の保険選びサイト「保険市場」を運営する独立系保険代理店(2)

*13:03JST アドバンクリエ Research Memo(3):国内最大級の保険選びサイト「保険市場」を運営する独立系保険代理店(2)
■アドバンスクリエイト<8798>の事業概要

(2) ASP事業
ASP事業は、Salesforceのクラウドサービスを活用して社内用に開発・利用してきた顧客管理システム「御用聞き」(2018年11月販売開始)や申込共通プラットフォームシステム「丁稚(DECHI)」(2019年6月販売開始)、オンラインビデオ通話システム「Dynamic OMO」(2021年3月販売開始)などを、主に保険代理店向けに外販する事業である。売上高は、契約ID数ごとの月額利用料の計上に加え、導入支援料なども計上している。また、2023年2月よりAVITAと販売代理店契約を締結し、AVITAが提供するアバターサービスと同社の「Dynamic OMO」を組み合わせたアバター接客システムの提供を行っている。

「御用聞き」の特徴は、クラウドサービスにより低コストで利用が可能なこと、保険業法や個人情報保護法等の関係法令に準拠しておりスムーズな顧客情報の管理・共有が可能なこと、各保険商品の手数料データの取り込みができること、歩合外務員の歩合率を設定する機能や報酬計算機能などを備えていることなどが挙げられる。乗合代理店では多くの保険商品を取り扱っており、保険商品ごとに手数料が異なるなど複雑な仕組みとなっているため、これらを一元管理できる「御用聞き」は業務効率向上支援ツールとして導入が進んでおり、契約ID数は2025年5月末時点で5,992件となっている。

「丁稚(DECHI)」は同社が構築する共通プラットフォームシステム「ACP(Advance Create Cloud Platform)」と保険会社の基幹システムを連携させることで、複数社にまたがる保険商品の申込手続きを一度の入力で完結できるシステムである。入力時間の短縮と入力ミスなどを防ぎ、顧客の待ち時間も短縮できるなど、乗合代理店にとって生産性並びに顧客満足度の向上につながるサービスとして導入が進んでいる。「丁稚」は「御用聞き」を利用していない代理店でも自社のCRMシステムを「ACP」と連携することで利用可能である。2025年5月末の契約ID数は7,191件となった。

「Dynamic OMO」の主な特徴は、ブラウザでの使用が可能なこと、互いの顔をワイプ表示できること、保険資料の画面をメインとして複数の資料をタブで簡単に切り替えられること、顧客が資料を拡大表示した際にその箇所を募集人が把握できるズームアップ機能を取り入れたことなどが挙げられる。いずれも社内で実際に利用している社員の要望を反映した機能であり、汎用のビデオ通話システムと比較して利便性に優れていることが特徴だ。利用料金は、月額基本料と使用データ量に応じた従量課金の組み合わせである。情報セキュリティ対策を施した自動録画機能をオプションでつけることもできるため、接客においてコンプライアンス上の問題がないか検証可能なほか、優秀な営業担当者の商談内容を研修用動画として営業担当者の育成に活用できることも導入メリットとして挙げられる。2025年5月末の契約ID数は937件となった。

そのほか、同社が自社開発した保険証券管理アプリ「folder」の外販を2020年1月より開始した。「folder」は保険証券をスマートフォンで撮影することによりクラウド上で管理できるほか、保障の過不足診断、年金・教育費シミュレーション、家族との保険契約情報の共有など様々な機能を実装している。ダウンロード件数は2025年5月末時点で22.6万件(保険証券登録数は14.6万件)と順調に拡大しており、このうち外販向けは1割強程度を占めていると見られる。同アプリは顧客との長期的な関係を構築し、保険検討時の「最初の接点」として収益機会を獲得するための有力ツールとなるため、今後も継続的に機能強化を進める考えだ。外販については、登録ID数のレンジごとに月額課金するビジネスモデル(サーバー費用含む)である。

これらサービスの販売ターゲットは、提携代理店のほか複数の保険会社の商品を扱う乗合代理店及び保険会社である(オンラインビデオ通話システムについては他業種でも利用可能)。募集人の数は国内で100万人規模となり、このうち乗合代理店が数十万人規模、同社の提携代理店だけでも5万人超の規模となる。注目すべき点は、これらシステムは社内利用を目的に開発されたため開発費負担がほとんどかからず、高い収益性が期待できることにある(2025年9月期中間期の営業利益率で39.1%)。売上規模はまだ小さいものの、今後も安定収益源として収益を下支えするものと考えられる。

(3) メディア事業
メディア事業では、保険選びサイト「保険市場」を広告媒体とする広告枠の販売を行っている。国内最大級の保険選びサイトとしてのブランドを確立しており、保険への関心が高い顧客層に直接アプローチできることから、広告主も保険会社や保険代理店が大半で広告単価も比較的安定している。広告出稿は保険会社の年度末近くの1〜3月に集中する傾向にあるため、同事業の業績は第2四半期がピークとなる。

(4) メディアレップ事業
メディアレップ事業は、自社で蓄積してきた広告運用業務のノウハウを用いて、保険会社向けにSEO対策を中心とした広告運用サービスを行う広告代理店ビジネスである。

(5) 再保険事業
再保険事業は、同社が保険代理店として獲得した保険契約の一部について、元受保険会社とAdvance Create Reinsurance Incorporatedとの間で再保険契約を結び、再保険料を得るビジネスである。生命保険や介護保険、疾病保険の再保険が中心で、2025年3月末時点の契約先企業は8社(生命保険6社、損害保険1社、少額短期保険1社)となっている。ストック型のビジネスモデルであるため期初段階でほぼ年間の収入見通しが把握でき、大規模自然災害や環境の変化によって保険会社の保険金支払額が想定を大きく超えない限りは、営業利益率で15%前後の高収益性と安定性が期待できる事業である。ただ、為替レートが円安に振れた場合は為替差損が発生し、利益圧迫要因となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


《HN》

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