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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2025/06/26 13:03,
提供元: フィスコ
日本電技 Research Memo(3):グループで高いシェアの空調計装、産業システムは未開拓
*13:03JST 日本電技 Research Memo(3):グループで高いシェアの空調計装、産業システムは未開拓
■日本電技<1723>の事業内容
1. 計装の市場
ビル空調は、個別空調とセントラル空調に分けられる。個別空調は、例えば雑居ビルのように1室ずつエアコンを置いて管理する手法で、比較的小さなビルやホテルなどの小部屋を得意とし、ダイキン工業<6367>や日立製作所<6501>といった巨大メーカーが中心プレイヤーである。セントラル空調は、ビル全体の空調を建物の特定箇所で一元管理(中央監視)する方法で、中型〜大型のビルやロビーなど様々な大空間を対象とするため、空調機器メーカーとサブコン※、同社のような空調をコントロールする空調計装企業の3者が一体となってバリューチェーンを形成している。空調計装の市場規模は1,600億円以上(同社調べ)と言われ、その6〜7割程度をアズビルと同社を含むアズビル特約店が占めている。このため空調計装は、事実上、アズビル製の機器が業界スタンダードとなっている。また、唯一のエンジニアリング部門を有する専業企業というポジションにある同社は、アズビル特約店の中で自他ともに認める高い技術力を有している。
※ サブコン:大型ビルの建設工事の全体をプロデュースするゼネコンから空調や電気、衛生関連設備といった工事を特化して請負う設備業者。
空調計装の市場は、ビルや工場などの建設に伴う新設工事と、その後のメンテナンスやリニューアル工事などの既設工事の2つに大別できる。近年の傾向として、建物個別の仕様・用途に合わせた空調設備の導入が求められるようになってきており、案件それぞれにカスタマイズできる技術力が必要とされる。例えば、病院の空調計装は精度に厳しく、温度管理はもちろん空気清浄と院内感染防止の観点から適切な湿度管理が要求される。特に、手術室には厳しい空調の基準が設けられており、換気差圧を利用して空気の清浄性を高める空調制御などが必要とされる。このほか、研究施設やクリーンルーム、美術館など、空調制御の技術が利用されている施設は世の中に意外と多い。ちなみに、収益性は新設工事に比べると既設工事の方が高く、元請となった場合さらに条件が良くなると言われている。
一方、産業システムは「計装エンジニアリング」の進化形と言え、制御技術を活かしてスマート化するなど工場のDXを進め、工場全体や生産ラインにおける人的作業を自動化・省人化し、効率化やコスト削減を進めている。こうした工場の中でも、食品・医薬品・化学品は他の産業と比較して人手に依存する現場が多いことから、今後の人手不足を考えると自動化・スマート化の余地は大きいと見られている。特に食品メーカーでは、製造業全体の中で最も従事者数が多いため、メーカーも自動化やスマート工場への関心が高い。しかし、自らスマート化するノウハウがないうえ、同社のようなスマート化を支援できる企業もほとんどないため、市場はまったくの未開拓状態と言える。
空間を自動制御する空調計装と工場をスマート化する産業システム
2. 事業内容
同社の事業は、主力の空調計装関連事業と今後期待される産業システム関連事業に大別され、2025年3月期の売上高構成比はおよそ9対1となっている。
(1) 空調計装関連事業
空調計装関連事業では、熱源制御、空調制御、動力制御、中央監視装置などによって、非居住用建築物の空調自動制御システムをトータルでプロデュースしている。最適な自動制御システムにより快適な空間を実現し、設備・機器の更新提案や建物のエネルギー管理のサポート、省エネ化提案などを行うことで、顧客の建物資産の保全やライフサイクルコストの低減を支援している。空調計装関連事業は、新設工事と既設工事に分けられる。新設工事では、建物の建築時に導入される空調設備のシステム設計から施工、引き渡し前の試運転・調整、引き渡し時の取扱説明までをワンストップで行っている。また、熱供給設備(地域冷暖房プラント)では、エネルギーを供給するための各設備機器の自動制御に関するシステム構築も行っている。既設工事では、建物の完成後、空調設備の保守・保全や設備更新に携わる一方、エネルギー効率や設備の運用状況の改善によって省エネ化・省コスト化をサポートしている。
(2) 産業システム関連事業
産業システム関連事業は「計装エンジニアリング」技術を背景に、工場全体のスマート化を事業領域とし、特に小規模工場から大規模工場までの生産プロセス(生産工程)や搬送ラインにおいて、計測機器やロボットなどをセットアップし、自動制御のためのシステム構築をサポートしている。具体的には、人手を多く使う食品や医薬品を中心に製造現場が抱える、ユーティリティ設備(電気、冷温水、蒸気、圧縮空気など)の自動化・省人化、安全性の確保、仕分けや流通加工の精度・生産性の向上、人が介在しないことによる安心・安全の確保など様々な課題に応えることで、顧客のバリューチェーンの最適化を支援している。こうした考え方を具現化したスマート工場は、市場が大きく広がり始めているところで、同社もこうした市場を取り込むため、AIやIoT、クラウドといった最新技術の活用を積極的に進めている。
豊富な経験などが構成する「計装エンジニアリング」の強み
3. 強みを構成する要素
同社には、設計から施工、メンテナンスまでを手掛ける「エンジニアリング企業」という強みがあると述べたが、その強みを構成する要素をまとめると、一部繰り返しになるが、同社のポジショニング、豊富な経験、エンジニアリング力、安定した収益構造、高水準な売上総利益率ということになる。同社のポジショニングについては、空調計装は大規模ビルやクリーンルームなど特殊用途に用いられるため高度・専門的な技術が必要で、参入障壁が高いと言える。豊富な経験に関しては、アズビルの最大手特約店として競合他社より長い歴史と豊富な経験があり、「経験工学」と言われる計装でこうした経験が収益性の差になって現れやすい。エンジニアリング力については、自社で自動制御ソフトウェアを開発できるうえ、空調の設計・施工・調整から空調以外の建築・電気・衛生なども行う専業として高い現場力を有しているため、計装工事の受注で有利に働く傾向がある。安定した収益構造については、既設工事が景気変動の波を受けにくいストック型の高収益ビジネスであることに起因し、現在、選別受注により拡大を目指している。高水準な売上総利益率に関しては、徹底した原価管理と高付加価値サービスの提供により、空調業界のなかでも比較的高い売上総利益率を実現している。こうした様々な要素が重なって構成されているため、「計装エンジニアリング企業」としての強みは揺るぎないと言えよう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
《HN》
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