フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/06/16 14:32, 提供元: フィスコ

ティア Research Memo（2）：葬儀会館の運営を行う葬祭事業を主力にFC事業、TLD事業へと展開

*14:32JST ティア Research Memo（2）：葬儀会館の運営を行う葬祭事業を主力にFC事業、TLD事業へと展開
■ティア<2485>の事業概要

1. 会社沿革と事業内容
同社は名古屋を地盤とした葬儀会館「ティア」の運営を目的に、1997年に設立された。「日本で一番『ありがとう』と言われる葬儀社」を目指して、「葬儀価格の完全開示」「適正な葬儀費用」を業界に先駆けて提唱した。葬儀業を究極のサービス業と位置付け、「徹底した人財教育によるサービスの向上」を通じて顧客からの支持を集め、成長を続けている。

2017年に愛知県内で湯灌サービス及びメイク納棺、生花販売業務を行う(有)愛共（現 (株)ティアサービス）を子会社化し、連結決算を開始した。また、葬儀周辺サービスに事業領域の拡大を目的に2022年11月に(株)ベンリーコーポレーションが展開する生活支援サービス「Benry」にFC加盟し、「ティアの会」会員向けの生活支援サービスや自社葬儀会館の営繕業務を名古屋市内の一部地域で開始した。2023年11月には葬儀会館を運営する2社を子会社化し※、事業規模を拡大した。

※ 大阪府八尾市を中心に葬儀会館「八光殿」等を運営する八光殿、愛知県豊川市を中心に葬儀会館「東海典礼」等を運営する東海典礼を子会社化した。投資ファンドから全株式を7,304百万円（諸経費含む）で取得。のれんは6,889百万円で15年定額償却となる。

事業セグメントは、葬儀・法要の請負、葬儀施行後のアフターフォロー、葬儀会館の運営などを行う葬祭事業、FC加盟企業向けのサービスとなるFC事業、不動産事業や八光殿で行うリユース事業などを行うその他事業に分けて開示されている。このうち、売上高・利益ともに9割超を葬祭事業が占めている。FC事業では、出店エリアの市場調査から会館企画、社員教育、経営指導、葬儀付帯品等の販売、アフターフォローに至るまでトータルサポートを提供している。売上高には、加盟時に支払う加盟金（2百万円）のほか、出店申込金（3百万円）やロイヤリティ収入（売上高の3%）、物品売上、社員に対する教育サービス料などが含まれる。FC加盟に関しては、同一商圏内に複数出店が可能な事業者であることを条件としている。以前は同業者の加盟を認めていなかったが、今後は理念に共感する同業者であれば、FC加盟だけでなくM&A対象としての検討も進める。

愛知県を中心に「ティア」直営・FC及びグループ会社店舗を含め208店舗を運営

2. 店舗数の推移
2025年9月期中間期末の店舗数は、同社直営店95店舗（うち、葬儀相談サロン3店舗）、FC店71店舗に、八光殿19店舗、東海典礼23店舗の合計208店舗となった。また、2025年4月末時点の地域別店舗数で見ると、直営店は名古屋市内で40店舗、名古屋市内を除く愛知県で32店舗、三重県8店舗、大阪府5店舗（うち、サロン1店舗）、東京都4店舗（うち、サロン2店舗）、埼玉県5店舗、千葉県2店舗を展開している。また、FC店は愛知県22店舗、岐阜県20店舗、大阪府16店舗、富山県5店舗、神奈川県3店舗、三重県・静岡県で各2店舗、和歌山県・茨城県で各1店舗を展開している。また、FC加盟社数は前期末から2社増加し16社となった。

2019年9月期以降の出店形態は、葬儀会館よりも規模の小さい家族葬専用ホールが中心となっている。葬儀会館は敷地面積で500坪前後が必要であり、交通の利便性など条件に見合う立地物件の確保は容易ではない。一方、家族葬専用ホールは敷地面積が200坪前後と、コンビニエンスストアの跡地などにも出店可能で、候補物件を見つけやすい。また、近年は家族葬ニーズが高まっており、店舗運営の面からも家族葬ホールでの出店が効率的であると考えている。

なお、名古屋市内の斎場シェアは上昇傾向を維持しており、2025年9月期中間期には29.2%まで上昇した。2023年4月より非会員向けに提供を開始した低料金プラン「ティアシンプル」（火葬式・一日葬）※の受注増加が一因となっている。同社は、全国のなかでも競争の激しい名古屋市内で確立したトップシェアのノウハウをほかの出店地域やグループ子会社に横展開し、グループシェアの拡大を目指している。

※ 火葬式セットプラン（132千円～）、一日葬セットプラン（330千円～）。

将来の見込み顧客となる個人会員数は年間2～3万人のペースで拡大

3. 顧客内訳と会員数の推移
同社は「ティアの会」の会員及び同等のサービスを受けられる提携団体（法人・各種団体）を獲得することで、売上成長につなげている。2025年9月期中間期の葬儀売上高（単体）の顧客別構成比を見ると、「ティアの会」会員で67.2%、提携団体で22.5%、フリー・他で10.3%となっている。売上高の約90%を会員・提携団体向けが占めており、その重要性がうかがえる。なお、フリー客・他の構成比が10.3%と初めて10%台に達したが、これは低価格ニーズを取り込むために非会員向けに提供開始した「ティアシンプル」の売上が伸びたことによるものである。

「ティアの会」は入会金を支払うことにより、会員特別価格による葬儀、葬儀後の法要、香典返しの利用が可能となる、独自の会員システムである。提携企業179社、全国239店で特典・割引を受けられる「会員優待サービス」をはじめ、提携先の通販会社などで利用可能な「生き方応援ポイント」や「葬儀保険」など複数のサービスも受けられる。会員数は2025年9月期中間期末で543,235人となり、年間2～3万人のペースで増加を続けている。提携団体も1,437団体と増加基調を維持しており、今後も安定した葬儀需要が見込まれる。また、八光殿や東海典礼も同様の会員制度を導入しており、これら2社の会員数は30,710人となっている。

（執筆：フィスコ客員アナリスト　佐藤　譲）

《HN》