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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/04/17 11:53, 提供元: フィスコ

クオルテック Research Memo(3):パワー半導体関連の試験受注が好調、他事業も受注回復傾向

*11:53JST クオルテック Research Memo(3):パワー半導体関連の試験受注が好調、他事業も受注回復傾向
■クオルテック<9165>の業績動向

1. 2025年6月期中間期の業績概要
2025年6月期中間期の業績は、売上高1,928百万円(前年同期比12.0%増)、営業利益156百万円(同8.2%減)、経常利益155百万円(同0.1%減)、中間純利益92百万円(同18.6%減)と増収ながら減益となった。期初の業績予想に対する進捗率は、売上高48.2%、営業利益40.6%、経常利益42.0%、当期純利益33.1%となっている。同社の主要顧客に大手企業が多く、これら企業の3月決算期の関係で同社の業績ピークが例年第3四半期(1〜3月)に到来することを考えれば、中間期としての業績推移は順調であると言えるだろう。実際、売上高の進捗率は前年同期比で0.7ポイント増となっている。売上面は、特に第2四半期が四半期単独で初の10億円を突破するなど好調に推移した。主力の信頼性評価事業は、信頼性試験及び断面研磨の受注が順調だった。またパワーサイクル試験(パワー半導体チップの熱ストレスへの耐久性評価試験)については、主要顧客の受注が好調に推移し増収となっている。微細加工事業では、レーザ加工事業において量産品加工の需要が大きく回復した。試作品加工も堅調、新たにセグメント対象となった表面処理技術事業においても主要顧客からの受注が好調で前年同期比増収となった。その他事業ではバイオ事業に関する受託試験が好調で増収となり、全社ベースでの増収に寄与した。

利益面では、増収に伴い売上総利益率は29.7%(前年同期比0.3ポイント増)と上昇したものの、人件費及び研究開発費の増加により営業利益としては減益となった。人件費の増加は今後の成長戦略に向けた営業部門などの拡販体制の強化、研究開発費の増加は次世代半導体を中心とした研究開発に伴う費用であり、期初事業計画にて予定されているものである。経常利益の減少幅が営業利益に比して少ないのは前年同期の上場費用の剥落、中間純利益の減少幅が大きいのは主に前年同期にあった保険解約返戻金(8百万円)の反動、及び投資有価証券の評価損(10百万円)によるものである。

2. セグメント別の業績動向
(1) 信頼性評価事業
信頼性評価事業の売上高は1,691百万円(前年同期比11.1%増)、営業利益は486百万円(同4.5%増)となった。信頼性試験については環境試験受注が順調で同8.4%の増収、断面研磨は顧客からの引き合いも多く受注を順調に獲得し、同5.0%の増収となった。また2025年6月期計画ではパワーサイクル試験の大きな増収を見込み、期中で21.3%増を計画しているが、中間期時点では前年同期比で32.1%増と好調に推移している。自動車メーカーや車載部品メーカーといった、パワー半導体や電子部品の試験に関する主要顧客からの受注が好調で業績を押し上げた。利益面では増収効果はあったものの、一方で成長戦略に向けた拡販体制強化のための費用増加(42百万円)や、パワエレテクノセンター立ち上げに伴う人件費などの増加(32百万円)により増益幅は売上比で小幅となった。同社は前期に熊本営業所を開設し、2025年6月期は九州地区に拠点を持つ半導体メーカーなどからの受注獲得に向けた営業活動を強化している。また自動車関連の需要が大きい東海地区の営業担当を増強するなど、受注活動を強化している。中間期の業績を見てもその効果が早速表れてきているものと考えられる。

(2) 微細加工事業
微細加工事業の売上高は210百万円(前年同期比17.8%増)、営業利益は94百万円(同102.2%増)となった。レーザ加工事業においては既存量産品の需要回復を受けて受注が増加し、同10.0%増収となった。量産品についてはコロナ禍での半導体不足やサプライチェーンの混乱によって顧客の最終製品の生産が減退するという状況にあったが、前期より需要の回復傾向が徐々に表れ、本格化してきた。試作品加工についてもメーカーの開発の進捗が思わしくなかったが徐々に進展、前期からの信頼性評価事業とのタイアップによる営業活動の推進もあり、受注が加速している。また2025年6月期より事業の対象となった表面処理技術事業においては、主要顧客からの受注を安定的に得られていることもあって同36.1%の増収となっている。利益面では減価償却費の減少で売上原価が低減したことから大幅な増益となった。

(3) その他事業
その他事業の売上高は26百万円(前年同期比31.4%増)、営業損失11百万円(前年同期は10百万円の損失)となった。バイオ事業において医薬品製造部品に関する受託試験の受注が本格化し、好調に推移したことが増収に寄与した。損益面では受託試験に係る消耗品や人件費が増加したことで売上原価が増加し、損失計上となっている。

3. 財務状況
(1) 財政状態
2025年6月期中間期末における資産合計は4,034百万円となり、前期末比106百万円減少した。流動資産は2,542百万円となり、同351百万円減少した。主な要因は、現金及び預金の減少364百万円、電子記録債権の減少57百万円、及び売掛金の増加52百万円などによるものである。固定資産は1,492百万円となり、同245百万円増加した。主にパワエレテクノセンター開設に係る有形固定資産の増加290百万円によるものである。

一方、負債合計は884百万円となり、同100百万円減少した。流動負債は579百万円となり、同109百万円減少した。主な要因は、未払法人税等の減少76百万円である。固定負債は305百万円となり、同9百万円増加した。主な要因はパワエレテクノセンター開設などに伴う資産除去債務の計上20百万円、及び長期借入金の減少15百万円によるものである。

純資産合計は3,150百万円となり、同5百万円減少した。主な要因は、中間純利益の計上92百万円、及び配当の支払98百万円によるものである。この結果、2025年6月期中間期末の自己資本比率は78.1%となり、前期末比1.9ポイント上昇した。上場に伴う資本の充実とともに剰余利益の蓄積も進んでおり、高い財務安全性を有している。

(2) キャッシュ・フロー
2025年6月中間期末時点の現金及び現金同等物は1,373百万円となり、前期末比364百万円減少した。営業活動によるキャッシュ・フローは135百万円の収入(前年同期は238百万円の収入)となった。主に税引前中間純利益143百万円、減価償却費145百万円、法人税等の支払額99百万円、未払費用の減少額53百万円などによるものである。

投資活動によるキャッシュ・フローは380百万円の支出(前年同期は168百万円の支出)となった。主にパワエレテクノセンター開設などに伴う有形固定資産の取得による支出379百万円があったことによるものである。

財務活動によるキャッシュ・フローは120百万円の支出(前年同期は462百万円の収入)となった。主に配当金の支払額98百万円、及び長期借入金の返済による支出15百万円などがあったことによるものである。

売上規模の増加傾向に伴い、営業活動によるキャッシュ・フローは安定して獲得できており、株式上場などによって潤沢なキャッシュを確保している状況である。現在は研究開発投資や設備投資を積極的に進めているが、今後もこの潤沢なキャッシュを成長投資に向けて有効に活用していくことが課題となるだろう。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)


《KM》

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