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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2025/03/24 11:09,
提供元: フィスコ
電算システムHD Research Memo(9):長期計画のゴールに向けた最終の3ヶ年計画を策定
*11:09JST 電算システムHD Research Memo(9):長期計画のゴールに向けた最終の3ヶ年計画を策定
■成長戦略
1. 長期計画「Challenge1000」
電算システムホールディングス<4072>は長期計画として「Challenge1000」を掲げ、ESG、SDGsの要素を加味しながら、2027年12月期に売上高1,000億円を目指している。これまで培った情報処理に関するノウハウと、IT技術とサービスを組み合わせることで生まれる「新しい価値の創造」を、「情報サービス事業」「決済サービス事業」「クラウドサービス事業」「新規事業」の4つの事業を通じて実現していく。ESG、SDGsの具体的な施策としては、紙を使用する同社の主力商品である収納代行サービスの払込票において、紙に代わる形態(PAYSLE、SMS等)に注力するほか、「DSKマルチインボイスサービス(請求書作成代行サービス)」による請求書の電子化も環境保全に貢献している。顧客のクラウド利用拡大を目指すデータセンターでは、社会全体のエネルギー利用の効率化を実現し、データセンター自体でも電力使用効率向上(省エネ)と、将来は再生可能エネルギー利用率の向上に取り組み、脱炭素に寄与する。2024年12月期には、先端技術を活用したソリューション展開(DSK観光・地域創生プラットフォーム構想)を発表した。地方創生領域で活用することで、地域経済の活性化を促し、暮らしやすいまちづくりへの貢献により、ESG、SDGsへの関与がさらに高まった。
2. 3ヶ年計画
同社は、中期計画として3ヶ年計画(2025年12月期〜2027年12月期)を策定し、2027年12月期に売上高815億円(情報サービス事業:530億円、収納代行サービス事業:284億円)の目標を設定した。本中期計画は長期計画「Challenge1000」に向けた最終の3ヶ年に当たるが、本中期計画の2027年12月期の目標を達成したとしても長期計画で掲げた売上高1,000億円には未達となる。しかし、同社では長期計画の目標は変更せず、引き続きチャレンジする方針だ。
同社は、この3ヶ年を「新規事業の創出、他社との連携、M&Aなどにより計画以上の成長を目指す」期間と位置付け、売上高は毎期10%以上の増加、営業利益は毎期の伸び率の平均を34.9%とする高い水準を掲げている。同社が現在手掛ける、最先端のデジタル技術を活用した統合プラットフォームの構築を急ぎ、2026年12月期以降にその成果を出す計画だ。利益面で特に高い目標を掲げる理由として、「資本コストや株価を意識した経営の実現」に向けた対応を図ることが挙げられる。従来からの東証の要請もあり、上場企業各社にとってこの点は早期対応が必要な課題だ。同社の2024年12月期の実績として、ROE(自己資本利益率)は8.7%、株主資本コスト(株主が企業に要求する最低限の収益率)は6.3%で、前者から後者を差し引いたエクイティ・スプレッド(株主価値を創造しているかの判断基準)は2.4%とプラスとなっている。ただし直近5ヶ年のROEの平均値は11.58%となることから、継続的に企業価値を高めるべく、目標数値としてROE12%をKPIとした。収益力のさらなる強化を図るほか、財務・資本政策を含む資本コストの改善を行うことにより、ROEを早期に12%の水準に引き上げることを目指す。
中期計画の達成に向けて、以下の4点を施策として掲げている。1つ目は「DSK Transformation」である。SI・ソフト開発分野において、従来の受託開発中心の案件受託方式からパッケージサービス型への脱皮を目指す。本項目は2024年12月期までの中期計画でも掲げられており、引き続き継続する施策である。2024年だけ見ても、教育分野での「まなみえ」や、配達員の現在地が見えるマップシステム「GOGA Tracker for Delivery」、生成AI活用ソリューションである「WorQu for GAI」等、顧客のニーズを先取りする形で様々なサービスをリリースしているが、販売実績としては今後に期待するところが大きい。顧客に対してDXに向けたトータルソリューションを提案するなかで、これらのサービスを加えることで課題解決と自社の収益力向上を図る考えだ。2つ目は「グループ企業間の連携強化」である。組織や人事の統合により、さらなる協業関係の構築を行うほか、事業連携によるシナジー効果の創出を図る。現時点で具体的な公表はないが、検討中の統合プラットフォームの進捗や、関連会社をはじめ、業務提携先や出資先との協業による新たなビジネスの推進といった点が今後注目される。3つ目は「隣地拡大」である。Google事業の周辺サービス拡大や、DX事業の拡大、収納代行サービスメニューの拡張といった点が具体策となる。Google事業の周辺サービスとしてはクラウド関連事業が注目される。クラウド案件推進のためにはGoogle関連サービスのほか、AWSやMicrosoft Azureといったクラウド基盤を使用した案件にも柔軟に対応できる体制整備を進めている。DX事業の拡大については、2025年12月期はNEXT GIGAへの進捗状況に注目したい。収納代行サービスメニューの拡大については、「TREE PAYMENT」や「PAYSLE」、「PayLabo」の販売強化のほか、新サービスの登場が期待される。4つ目は「人材育成」である。Googleの有資格者の増加や従業員のプロジェクトマネジメント能力の育成・強化、あるいは従業員の処遇面の見直し等により、従業員のモチベーションと技術力を高める施策を展開することが見込まれる。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
《HN》
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