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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2025/03/18 12:02,
提供元: フィスコ
ノムラシステム Research Memo(2):後継製品にリプレイスする2027年までを飛躍の期間に
*12:02JST ノムラシステム Research Memo(2):後継製品にリプレイスする2027年までを飛躍の期間に
■当面の事業展開、2024 年 12 月期の振り返り、株主還元
現在の主力である「SAP ERP 6.0」は2027年にメンテナンス終了予定である、いわゆる「SAP2027年問題」を控えていることから、ノムラシステムコーポレーション<3940>では「SAP S/4HANA」へ完全切替えとなる2027年までを大きく成長期として位置付けている。「SAP S/4HANA」を土台に、SAP ERPとビッグデータ分析、AI、IoT、クラウドの組み合わせによる競合優位を確立する。そのためには、レベルの高い人材育成及び採用が課題となりそうだ。同社は成長戦略を進めるため人材投資を積極的に行い、新卒社員を育てて戦力化し、着実にビジネスを遂行する方針である。
1. 次世代戦略事業部によりDX事業を推進
同社はDXサービスを展開する次世代戦略事業部の活動に注力している。次世代戦略事業部単独での引き合いが活性化しているようで、今後はストックビジネスの受注拡大を目指す。この際、重要なのは受注先の企業規模であるが、同社では受注単価が大きい大企業からの受注が増える傾向にある。ビッグユーザーの増加は収益向上に直結するため、今後も大企業からの受注獲得を目指す。
IT業界は人材の流動が激しいイメージがあるが、同社は時間をかけて新卒採用者を育成している。その結果、離職率は徐々に低下しており、2024年12月期第3四半期までの離職率は3%であった。人材育成力が向上し社員の定着率が高まれば、中長期的な収益向上につながると考えられる。コンサルの育成に重点を置くことにより、今後も成長を目指す考えだ。
2. PMOサービスに注力
次世代戦略事業部で注力しているのがPMOサービスだ。PMOとは「Project Management Office」の略称で、企業内のプロジェクトをまとめるPM(Project Manager)を支援する組織のことである。同社では戦略的ERP導入コンサルティングのノウハウと開発プロジェクトの経験を基にプロジェクト推進を支援し、プロジェクト成功率を最大化するPMOサービスを提供している。
同社は大企業中心の顧客基盤を持っており、その累計売上規模は140兆円に上る。大企業の平均的なIT予算は2%と言われており、2.8兆円の市場を持っていることになる。多くの大企業の経営層に対して直接訴求できる状況であり、強い信頼関係に基づいた支援を行っていく。2024年12月期上期においても、大手SIer会社や公立大学などから新規受注を確保し、営業活動を着実に進めている。
3.製品戦略
製品戦略としては、自社ソリューションの開発に力を注いでおり、訴求力のあるテンプレートを開発し、プライムプロジェクトの受注増を目指している。とりわけ注目すべきは、著作権テンプレートである。これは2023年6月にプロトタイプが完成したが、他パートナーとの差別化を図るほか、メディア事業向けERPソリューションの地位獲得とともに、SAPからの紹介案件を受けやすくする狙いがある。著作権に関するビジネスは、前出のNHKエンタープライズのプロジェクトにおいて強みを発揮したが、このほかにも、著作権テンプレートは引き合いが活発化しているという。
2024年12月期の売上高は3,275百万円、経常利益は515百万円、当期純利益は366百万円となり、売上高・経常利益ともに過去最高を更新した。最大の要因は人材の成長である。入社3〜4年目の新卒社員のなかから、トータルに提案できるスーパーコンサルタントが育ってきた。特筆すべきは、PMOサービスを担う人材の成長である。顧客と一緒に課題を洗い出し、DX化と業務効率化を正しい方向へ導く彼らに対する大手取引先企業の評価が、同社の競争優位性をさらに高め、新規の大型プライム(元請け)案件の獲得につながった。機密性・安全性を重視する顧客が増えているなか、設立時から継続している「プロジェクト成功率100%」記録も更新し、同社のコンサルティング力の高さを証明できた1年であった。
無借金経営であること及び事業規模に照らすと、キャッシュリッチな企業と見ることができる。2024年12月期末時点の自己資本比率は87.8%と極めて高い。同社は安定配当を継続的に行う考えを明らかにしており、2024年12月期の年間で1株当たり3.25円の配当を2025年12月期も継続する意向だ。配当方針としては、内部留保の充実を図る一方で、配当性向40%以上の安定配当を継続的に行うという。2024年12月期の配当性向は40.8%だった。一方、2月14日に、発行株数の2.2%にあたる100万株、取得金額2億円を上限とする自社株買いを実施すると発表。3期連続の実施となるが、今後も株主還元について前向きに対応する意向だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
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