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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2025/03/06 13:04,
提供元: フィスコ
サンフロ不動産 Research Memo(4):既存不動産の活用等を通して、顧客の資産価値の最大化を実現(2)
*13:04JST サンフロ不動産 Research Memo(4):既存不動産の活用等を通して、顧客の資産価値の最大化を実現(2)
■サンフロンティア不動産<8934>の事業概要
3. ホテル・観光事業
ホテル・観光事業では、「ホテル運営事業」「ホテル開発事業」「地域創生事業」を手掛けている。
「ホテル運営事業」では、「心温かい楽しいホテル」をテーマに、上質で心地よい、プライベート感のあるホテルを国内中心に展開している。滞在中のお客様が「また何度でも帰って来たい」と感じることができるホテルを目指し、各地域の食や文化、歴史などを大切に、地域特性に合わせた「温泉&リゾート」「シティリゾート」「地域創生」「オリジナルコレクション」の 4つのタイプと、サービスの幅や価格レンジもさまざまなホテルタイプを用意している。同社グループは、国内中心に28軒3,144室(2025年2月時点)を運営している。
「ホテル開発事業」は、自社開発によるホテル建設、自社ブランドによる既存ホテルのリニューアルといったホテルの最有効活用を企画・提案している。ホテル開発では、顧客が所有する不動産を同社グループが購入し、ホテル建設・運営を行う事業方式や、既存ホテルを購入し同社グループでリニューアル・運営を行う事業方式がある。その他にも、建物賃貸借開発方式や土地賃貸借開発方式、他社運営によるホテル保有事業がある。ホテル開発のほかに再生では、顧客視点の付加価値の創出により高収益ホテルへの再生を行っている。再生工事は、企画立案、建築デザイン、資材調達、工程進捗、引渡しまで、すべて一括して同社グループが行うことで、細部にこだわり、使いやすく清潔感のある高品質な不動産に改修する。ホテルの再生には建物だけではなく運営面での再生も重要である。ホテルに従事するスタッフと併走して再生に向けた取り組みを行っている。
「地域創生事業」は、その地域ならではの魅力や特長をテーマにした事業に取り組んでいる。同事業の背景には、日本が誇る文化・歴史・自然・食事・温泉・おもてなしなどに魅了される訪日外国人旅行者の急増があり、創業者の出身地でもある新潟県・佐渡島より事業を開始した。佐渡島では観光産業を軸に地域創生を進めており、既に210人を超える雇用(2024年9月末)を創出した。また、ホテル事業の運営を基軸に沖縄県・宮古島にも進出を果たしており、「日本の素晴らしさ」を備える地方に視点を向け、その地方ならではの魅力を生かした地域創生事業に挑戦を続けている。
4. その他
その他の事業では、「海外開発事業」「建設事業」を手掛けている。
「海外開発事業」は、成長が期待できるベトナムへ進出し、日本の高度な施工技術によるマンション・住宅等を中心とした不動産開発事業を展開している。都市型高層分譲マンション事業では、ベトナム中部に位置するダナン市において高層分譲マンションの開発・販売、運営を行っている。2019年12月には「HIYORI Garden Tower」を竣工し、住居306戸が完売している。また、分譲マンションプロジェクト第2号案件として、2024年8月に「HIYORI Aqua Tower」を着工しており、2026年の秋に竣工を予定している。
「建設事業」は、事業用ビルのリニューアル企画や修繕・改修工事、内装仕上工事及び電気通信工事等を行っている。ビル空間や外観・エントランスのリニューアルをプロデュース、入居テナントにとって魅力的で使いやすい空間を創造することによりテナントの満足度を高め、オーナーが保有するビルの競争力や資産価値の向上につなげている。現状分析・コンサルティング・デザインから設計・施工までをワンストップで提供することで、高い品質とコスト効率を実現している。
5. 同社グループの強み
同社グループの強みとして、不動産再生事業における内製化したワンストップサービスの提供力が挙げられる。ビルの仕入れから、再生・活用企画、建設工事、テナント誘致、管理、販売、販売後のビル経営に至るまでを一貫して内製化し、高い付加価値を創出している。この一連のワンストップサービスは、不動産サービス事業の各部門(プロパティマネジメント、リーシングマネジメント、ビルメンテナンス、資産コンサルティング、滞納賃料保証、貸会議室)が協業することで実現している。こうした協業を行えているのは、同社グループがフィロソフィ経営を実践するなか、最上位概念であるクレド「利他」の精神が、従業員同士をしっかりと結び付けているためである。
管理会計の手法においては、「アメーバ経営」システムを導入している。これは、グループの事業を5人〜10人の小集団(アメーバ)に分類し、アメーバごとに時間当たりの採算の最大化を図るものである(時間当たり採算=売上総利益÷労働時間)。各アメーバにはリーダーが存在し、期初に設定した年間予算・月次予算(売上総利益と時間当たりアメーバ)に対する進捗管理を行う。アメーバ経営による管理会計手法は、市場に直結した部門別採算制度の確立のみならず、全員参加による従業員の採算意識向上や、経営者人財の育成につながるメリットがある。小集団であることにより意思決定のスピードアップが図られ、環境変化による市場ニーズの変化などにも柔軟な対応が可能なため、効果的な経営手法であると弊社では考える。
6. 事業環境
同社を取り巻く事業環境については、まず世界経済は米国の政権交代に伴う政策変更、中国経済の低迷、地政学リスクなどにより先行き不透明な状況が続いている。国際通貨基金(IMF)は2025年及び2026年の世界経済成長率を3.3%と予測しており、前回見通しから0.1ポイント引き上げたものの、依然として慎重な姿勢が求められる。米国経済は堅調であるものの、保護主義政策の強化など注意すべき点が存在する。日本経済においては、金利のある世界への移行や賃金と物価の好循環が形成されつつあり、持続的な経済成長が期待されるが、日銀による1月の追加利上げの決定など、今後の政策金利の引き上げには注視が必要である。
都心オフィスビル市場では、賃料上昇と空室率改善が継続しており、富裕層や機関投資家による高い投資意欲が維持されると予想される。さらに、ホテル・観光市場は円安基調を背景に、2024年の訪日客旅行消費額が8兆1,395億円、訪日客数が年間3,686万9,900人といずれも過去最高を更新しており、好調な需要環境が継続することが期待される。
同社を取り巻く事業環境は、都心オフィスビル市場と観光・ホテル市場の双方において堅調な成長が期待される状況にある。ホテル事業においては客室単価の上昇と高稼働が収益拡大に寄与している。国内経済は賃金と物価の好循環が進み、緩やかな回復基調にあるため、堅調な不動産市場の支援環境が整っている。以上の点を踏まえると、同社は流動型事業とストック型事業の双方で着実な成績を収めるとともに、多角的な投資や事業展開により安定した成長と収益拡大の機会を有していると評価できる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
《HN》
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