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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2025/01/16 13:08,
提供元: フィスコ
アンジェス Research Memo(8):研究開発費の減少により2024年12月期第3四半期累計の営業損失は縮小
*13:08JST アンジェス Research Memo(8):研究開発費の減少により2024年12月期第3四半期累計の営業損失は縮小
■アンジェス<4563>の業績動向
1. 2024年12月期第3四半期累計の業績概要
2024年12月期第3四半期累計の事業収益は471百万円(前年同期比368百万円増)、営業損失は7,042百万円(同2,165百万円減)、経常損失は7,050百万円(同2,329百万円増)、親会社株主に帰属する四半期純損失は7,156百万円(同2,358百万円増)となった。
事業収益は、希少遺伝性疾患に関するオプショナルスクリーニング検査の手数料収入が前年同期比125百万円増加の199百万円と順調に拡大したことに加え、「ゾキンヴィ」の売上185百万円、Anoccaからのライセンス契約一時金の受領等による研究開発事業収益75百万円を計上したことが増収要因となった。「コラテジェン」の売上は同3百万円減の11百万円であった。
売上原価は前年同期比194百万円増加の285百万円となった。「コラテジェン」の売上原価は前年同期に計上した在庫廃棄損がなくなったことにより6百万円減少したが、ACRLの売上原価が78百万円増加したほか、「ゾキンヴィ」の商品売上原価122百万円が増加要因となった。
研究開発費は前年同期比1,910百万円減少の2,928百万円となった。Emendoの事業構造改革に伴い人件費が837百万円減少したほか、外注費が612百万円、支払手数料が174百万円それぞれ減少した。販管費は同81百万円減少の4,299百万円となった。Emendoの事業構造改革に伴い人件費が241百万円減少した一方で、為替の円安進行によりEmendoののれん償却額が2,488百万円と同217百万円増加した。
営業外収支は前年同期比4,495百万円悪化した。補助金収入が2,893百万円減少したほか、Emendoへの貸付金の評価替に伴う為替差益が1,553百万円減少したことによる。また、特別損失としてEmendoの研究開発部門再編に伴う事業構造改革費用21百万円を計上した。
Emendoの事業構造改革実施により2024年12月期の営業損失は縮小する見通し
2. 2024年12月期の業績見通し
2024年12月期の業績は事業収益で600百万円(前期比447百万円増)、営業損失で8,450百万円(同3,517百万円減)、経常損失で8,450百万円(同2,798百万円増)、親会社株主に帰属する当期純損失で8,650百万円(同1,212百万円増)を見込んでいる。
事業収益は、ACRLにおける手数料収入の拡大に加えて「ゾキンヴィ」の売上及び研究開発事業収益の計上が増加要因となり、おおむね計画通りの進捗である。事業費用に関しては、ACRLの売上拡大に伴う原価増や「ゾキンヴィ」の商品売上原価の計上があるものの、Emendoの事業構造改革に伴い研究開発費が前期比25億円程度減少するほか、販管費もEmendo関連の人件費やコンサルティング費用等の減少が見込まれており、営業損失の縮小要因となる。ただ、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失については、前期に営業外損益で計上した新型コロナウイルス感染症ワクチンに係る補助金収入がなくなる影響で拡大する見通しだ。なお、為替レートが期初想定の142円/米ドルから円安水準で推移していることから、外貨建てとなるEmendoののれん償却額が増加する見通しだが、営業外収支で計上している貸付金に係る為替差益が膨らむ可能性がある。
当面は第三者割当による新株予約権行使により事業活動資金を賄う方針
3. 財務状況について
2024年12月期第3四半期末の財務状況は、資産合計が前期末比3,763百万円減少の25,128百万円となった。流動資産では、「ゾキンヴィ」の仕入により商品を192百万円計上した一方で、現金及び預金が1,244百万円減少したほか、使用期限切れによる廃棄が見込まれる材料の評価損計上により原材料及び貯蔵品が364百万円減少した。固定資産は、のれんが2,193百万円減少したほか、Emendoの社屋に係るリース資産の減損により使用権資産が141百万円減少した。
負債合計は前期末比124百万円増加の2,913百万円となった。前期の費用の支払いにより買掛金が277百万円、未払金が221百万円減少したほか、Emendoの事業構造改革費用の支払い等により事業構造改革引当金が536百万円減少した。一方で、第1回無担保社債(ゼロ・クーポン債)の発行により社債が1,300百万円増加した。
純資産合計は同3,888百万円減少の22,214百万円となった。新株予約権の行使や無担保転換社債型新株予約権付社債の発行等により、資本金が1,501百万円、資本剰余金が1,477百万円それぞれ増加した一方で、親会社株主に帰属する四半期純損失7,156百万円の計上により利益剰余金が減少した。
2024年12月期第3四半期末の現金及び預金残高が約29億円まで減少しているが、今後の事業活動資金については2024年9月に発行した第三者割当による第45回新株予約権(行使価額修正条項付、潜在株式数12,920万株、当初行使価額63.9円、下限行使価額35.5円)の行使により賄う方針だ。2024年10月〜11月に2,600万株分を行使し、1,211百万円を調達した。残りの未行使分(10,320万株)が45円で行使されたとすると残り約46億円を調達できることになる。2024年12月期第3四半期の償却前営業損失は約11億円となっており、当面は行使分で事業支出分を賄える計算となる。ただ、2025年12月期からは米国でHGF遺伝子治療用製品の第3相臨床試験を開始する可能性が高く、大手製薬企業とのライセンス契約が締結に至らない場合には、引き続き新株予約権を発行し事業活動資金を調達していくことになりそうだ。
なお、第45回新株予約権の行使による調達資金の具体的使途としては、HGF遺伝子治療用製品のグローバル展開のための研究開発費用として3,878百万円を見込んでいるほか、「ゾキンヴィ」の製造販売費用、NF-κBデコイオリゴDNAの第2相臨床試験費用、検査事業の能力増強投資などを予定している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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