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フィスコ投資ニュース

配信日時: 2025/01/16 12:03, 提供元: フィスコ

テノックス Research Memo(3):コンクリート杭や浅層地盤改良などラインアップ拡大

*12:03JST テノックス Research Memo(3):コンクリート杭や浅層地盤改良などラインアップ拡大
■テノックス<1905>の事業概要

1. 事業内容
同社は基礎工事の中でも、橋梁などの土木構造物や中低層ビルなどの建築物における鋼管杭工事と、柱状改良による深層地盤改良工事を得意としている。様々な地盤や構造物、施主の要望に対応する必要があるため、多彩な工法や施工ノウハウを駆使し、着実で最善の基礎工事を提供している。近年は時代の要請に合わせて、コンクリート杭工事や既存杭の引抜き工事、浅層地盤改良工事なども取り入れ、ラインアップの幅を広げている。国内の関連会社には、基礎工事に特化した建設事業を営む子会社のテノックス技研や広島組、大三島物産(株)があり、同社に対して機材の賃貸を含む施工協力を行っている。海外では、TENOX ASIAがベトナムで建設事業を行っている。TENOX ASIAは設立から約10年経過し、現地スタッフの育成や人脈など営業資産の構築が進み、事業を本格的に拡大する局面に入ってきたようだ。売上高の大半がこれらの建設事業で占められるが、ほかに複合技術研究所が土木建築コンサルティング全般等事業を、その他の事業として不動産賃貸事業などを展開している。


鋼管杭と深層地盤改良で売上高の大半を占める

2. 建設事業
主力の建設事業では、鋼管杭工事と深層地盤改良工事が売上高の大半を占める。同社が対象とする構造物は、戸建て住宅やマンション、物流施設、工場、データセンターなどの中低層建築物、道路・鉄道の橋梁や盛土、上下水道施設、土留め、擁壁、鉄塔などの土木構造物である。建築物を支えるだけでなく、耐震補強や液状化抑制、環境負荷低減、土砂崩壊の抑制なども工事の目的に含まれる。工法には、杭工事でガンテツパイル工法、TN工法、TN-X工法、NSエコパイル工法、ATTコラム工法など、地盤改良工事でテノコラム工法やピュアパイル工法、TOFT工法などがある。TN-X工法とピュアパイル工法は建築物のみを対象としているが、そのほかの工法は土木構造物にも適用される。以下に同社の主要工法の詳細を示す。

(1) ガンテツパイル工法(杭)
日本製鉄<5401>、クボタ<6326>と共同で研究開発した杭基礎工法で、地盤にセメントミルク※を注入し撹拌混合して造成した固化体(ソイルセメント柱)の中央に、外面突起付き鋼管杭を圧入する合成杭工法である。特長は、ソイルセメント柱の大きな鉛直・周面支持力により少ない杭本数で構造物を支え、鋼管の特性である高い靭性によって大きな水平支持力を得、地盤を有効利用して固化体を造成するため建設残土の発生を低減できるところなどにあり、その結果、建設費の抑制や工期の短縮を可能にした。道路や鉄道の橋梁、上下水道施設など土木分野で幅広く利用されている。

※ セメントミルク:セメントと水を混ぜ合わせてできるミルク状のもの。

(2) TN-X工法(杭)
油圧式の拡縮掘削ヘッドにより杭先端部に拡大根固め球根を築造することで大きな支持力を得る高支持力鋼管杭工法で、日本製鉄と共同で研究開発した。特長は、根固め球根によって高い先端支持力が得られるため少ない本数で大型構造物を支えることができること、鋼管杭の特性である高い靭性から大地震に強いこと、中掘り工法を採用することで現場造成杭やプレボーリング工法(コンクリートパイル)と比較して低排土であること、大口径鋼管杭を70メートル(施工長)の深度まで施工できること、掘削深度や掘削速度、セメントミルク注入量、拡縮翼径などをリアルタイムでモニタリングすることにより品質管理が可能なことなどである。大きな杭耐力を必要とする官庁施設、病院、空港施設などの重要建築構造物や大型物流倉庫、データセンターなどに採用されている。

(3) ATTコラム工法(杭)
旭化成建材(株)と共同で研究開発した杭基礎工法で、ソイルセメントコラム(柱状改良体)の中央に羽根付き鋼管杭を埋設するハイブリッド杭工法である。特長は、ソイルセメントコラムと羽根付き鋼管杭の相乗効果で得られる大きな周面摩擦力と高い靭性により軟弱地盤上でも大きな水平支持力を期待できること、後述するテノコラム工法を応用することで建設残土を低減できること、狭隘地での施工が可能なことなどである。中低層建築物やアウトフレーム型耐震補強の基礎として多用されるほか、歩道橋の橋台基礎など狭い現場や狭い搬入路でも利用できるうえ、明確な支持層に着底しない浮き基礎にも対応していることが高く評価されている。

(4) テノコラム工法(地盤改良)
建築物の基礎工法として地盤改良の使用が認知される先駆けとなった工法で、1984年に同社独自で特許を取得した。スラリー状※にしたセメント系固化材(固化材液)を地盤に注入し、機械的に撹拌混合することでソイルセメントコラムを築造する。特長は、土質を選ばず均一な強度のコラムを築造できること、コラム径や施工機械のラインアップが幅広いため施工仕様や現場条件に合わせられること、リアルタイムの施工管理システムによって工期短縮やコスト削減を図れること、低振動・低騒音に加え地下水汚濁や二次公害のない環境にやさしい工法であることなどである。戸建て住宅やマンション、商業施設、中低層建築物、工場など様々な建築物の基礎に採用されるだけでなく、液状化対策や円弧滑り防止など用途は多岐にわたる。阪神大震災や東日本大震災、熊本地震といった大地震の際、テノコラム工法を基礎に採用した構造物が無被害だったことから同工法への信頼性が改めて高まり、これまでの施工実績は約41,000件を誇る。なお、同社は浅層地盤改良工法である「テノキューブ(TENO Q-be)工法」を開発し、本格的な事業化に向けて取り組んでいる。同一現場の範囲にて支持層深度が異なることが多いため、浅層のテノキューブと深層のテノコラムの2つの地盤改良工法を併せ持つことは、設計業者やゼネコンにとって利便性が高いだけでなく、現場工事においてテノコラム施工によって発生した残土をテノキューブ施工の地盤材料として利用できる環境にやさしい工法として期待が高まっている。

※ スラリー状:セメントと水を混ぜ合わせてできるミルク状のもの。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


《HN》

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