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フィスコ投資ニュース
配信日時: 2025/01/15 16:13,
提供元: フィスコ
品川リフラ Research Memo(3):事業における各セクターの概要
*16:13JST 品川リフラ Research Memo(3):事業における各セクターの概要
■品川リフラクトリーズ<5351>の会社概要、事業概要
4. 事業内容
(1) 耐火物セクター
耐火物セクターは、同社の耐火物事業本部、セラテクノ、品川ゼネラルの国内関係会社2社、及び瀋陽品川(中国)、遼寧品川和豊(中国)、SRA(オーストラリア)、SAM(米国)、SRB(ブラジル)、SRP(インドネシア)などの海外関係会社10社から構成されており、グローバル展開を加速している。耐火物事業は、顧客ごとの使用条件に適合した製品を提供する顧客密着型ソリューションが求められる。グループ一丸となってグローバルな顧客から第一に選ばれる事業者となることを目指している。2025年10月には、Gouda(オランダ)のグループ11社が新たに加わった。
連結の売上高の顧客業種別売上高構成比は、鉄鋼業向けが8割超を占め依存度が高く、その他焼却炉、セメント業向けと続く。JFEスチールと神戸製鋼所への連結売上高の依存度は5割を超える。高炉メーカーへの売上規模が大きく、顧客ニーズに迅速に対応することを目的として同社は主要顧客の製鉄所内に営業所やエンジニアリング事業部の拠点を置くなど顧客密着型の体制を取っている。装置産業である鉄鋼メーカーのニーズは、設備稼働率の維持、高い歩留り、高品質である。今後は、GHG排出量削減への貢献が加わる。同社は、主要顧客に対して緊密な営業と迅速なサポート体制を取り、顧客ニーズに応えている。
a) 国内生産体制
2009年の合併以降、第2次中期経営計画まで統合効果と競争力強化のため生産集約による最適生産体制への再編を行った。現在では、湯本工場、鹿島工場、赤穂工場、日生工場、岡山工場、帝窯工場及び玉島工場の7工場体制をとっている。さらに、第5次中期経営計画では、2022年3月期の上期から西日本地区の不定形耐火物の生産拠点集約(4拠点→2拠点)に取りかかり、赤穂工場に建設した最新鋭プラントが2024年9月より本格的に営業運転を開始した。
主要国内定形耐火物プラントの多くは、高度に自動化されており、省力化・自動化のために工業用ロボットが導入されている。製造工程は、秤量・混練・成形・乾燥・焼成・検査・梱包となる。最新のコンピュータ統合生産システムによる生産管理方式を取り入れ、製造工程の管理と自動全数検査システムの導入による徹底した品質管理体制の実現に取り組んでいる。成形には、最大5,000トンの油圧真空プレス機を使用し、焼成の最高温度は1,850℃、トンネルキルンで約1週間かけて焼き上げる。
b) 主要製品
耐火物セクターの主要製品は、定形耐火物、不定形耐火物、連続鋳造用モールドパウダー、及び関連副資材で構成される。
定形耐火物は、使用されるそれぞれの高温設備の操業条件に合わせて組成と形状を最適化させた製品で、塩基性れんが、カーボン含有れんが、粘土質れんが、高アルミナ質れんが、炭化珪素質れんが、珪石れんがなどをラインナップとしている。
不定形耐火物は、キャスタブル(流し込み材)、吹付材、プラスチック、ラミングミックス、モルタル、圧入材、こて塗り材、プレキャストブロックなど、用途や施工方法に合わせた製品が数多くある。緻密性、断熱性、耐酸性など各種要求、施工方法や工期に応じた最適な製品を揃える。吹付材は、施工枠が不要で、大量の施工が短時間に行え、緊急時の熱間補修にも最適である。プレキャストブロックは、現場での流し込み施工が困難な場合に、キャスタブルを所定の形状に最適条件で流し込み成形した製品で、工期の短縮になる。
欧州の耐火物メーカーは、製造設備に標準化された耐火物製品を供給することでビジネス展開を図っているが、日本の耐火物メーカーは、顧客のニーズに合わせた継続的な改善により、顧客の操業が最適に行われるような耐火物製品を供給することでビジネス展開を図っている。耐火物の需要は、海外では定形品4:不定形品6の割合だが、日本では定形品3:不定形品7となる。
連続鋳造用モールドパウダーは、高品質な鋼材生産に不可欠な製品である。国内の耐火物メーカーでは同社だけが手掛けており、競争力が高いアイテムの一つである。鋳型内に添加される粉末状潤滑剤で、溶鋼表面の保温と酸化防止、鋳型と鋼塊間の潤滑などの重要な機能を持つ。連続鋳造とは、溶融した鋼を連続的に冷却・凝固させて、板状や棒状の鋼塊にする工程である。その工程で使用されるスライドゲートプレート、浸漬ノズルなどの機能性耐火物とともに、モールドパウダーは戦略製品に位置付けられている。浸漬ノズルは、連続鋳造工程において溶鋼の酸化防止やモールド内の流動の制御など重要な役割を果たす。同社は、浸漬ノズルの販売だけでなく浸漬ノズル迅速交換装置も提供しており、顧客の作業負荷の低減にも貢献している。
(2) 断熱材セクター
断熱材のセラミックファイバーは、軽量で低熱伝導率、高断熱性で省エネルギーには欠かせない素材である。施工性に優れた各種モジュール、成形品、断熱ボード、シート、ガスケットなど、様々な製品で顧客ニーズに対応している。2004年に断熱材事業を行うイソライト工業を買収した。持株比率が54.9%であったが、2022年3月末にTOB+株式売渡請求により完全子会社化した。環境課題への対応などを背景に、全世界的な事業環境の大変革期が到来したことを認識し、大胆な意思決定を迅速に行えるグループ経営体制の構築を進めた。
(3) 先端機材セクター(旧 セラミックスセクター)
同社は、1978年にファインセラミックス事業を開始した。先端産業の成長を見据え、2002年に品川ファインセラミックスとして分社化した。同セクターは、品川ファインセラミックスと米国で事業譲受したSSCA(Shinagawa Specialty Ceramics Americas LLC)及びコムイノベーションの3社で構成される。ファインセラミックスは、高度に微細組織を制御したセラミック素材である。アルミナ、ジルコニア、炭化珪素、サイアロンなど、様々な機能や特性を備えた素材で、各種ローラー、ダイス、ポンプパーツから半導体・液晶製造装置用セラミック部材まで、多様なエンジニアリングセラミックスを提供している。2024年3月に半導体製造装置のアセンブリ業務を主な事業とするコムイノベーションを買収により連結子会社としたことを契機に、今後の成長の柱として半導体製造装置業界や航空宇宙・エネルギー関連業界での事業領域の拡大を企図し、2025年3月期より「セラミックスセクター」を「先端機材セクター」に組織改編した。
(4) エンジニアリングセクター
エンジニアリング事業は、工業窯炉での耐火物の設計、施工、メンテナンスを行う。各種施工機械や耐火物周辺設備の設計、製作など、高温の世界を支える総合エンジニアリングを提供している。近年の工業炉は環境に配慮した省エネルギー、省力化、無害化、安全性などが要求されており、窯炉の設計や施工には高度の技術が必要となる。鉄鋼業向けには取鍋、連続鋳造に使用されるスライドゲート溶鋼流量制御装置、浸漬ノズル迅速交換装置など幅広いニーズに最新技術で応えている。また、大型ブロックリング工法による高炉改修工事に参画し、超短期改修に貢献したことで大きな評価を得ている。ごみ焼却炉、溶融炉などの環境関連設備においても国内で指折りの実績を持つ。
(5) その他
その他の不動産事業は、保有不動産の賃貸や土地の有効活用を行う。賃貸契約が終了し遊休資産となった物件を売却し、コアビジネスである耐火物及び関連製品事業の設備投資やM&Aの資金に充当している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
《HN》
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