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アリエール、ジョイ、ファブリーズなどおなじみの商品で有名な企業P&Gの経営戦略等について書かれています。アメリカの長寿ディフェンシブ銘柄にありがちな60年以上も長期連続増配をしている優良企業であります(ちなみに日本の同業他社である花王の連続増配は2023年3月期で34期)。
どこで戦い、どうやって勝つかなど5つの主だった戦略に対してP&Gがどのように対応したかを分析したり、著名な経営学者であるマイケル・ポーターの5フォース(買い手の交渉力などを分析すること)分析をP&Gにあてはめて分析するといったことを詳述しています。
また、経営で勝つための戦略とは、根本的には2つしかないと定義しています。その2つの定義とは、低コスト戦略と差別化戦略であると。しかし、いうのは簡単ですが、実行するとなると難しいです。低コスト戦略が機能するためには、規模の経済が働いたりする大企業が基本的に有利であるし、差別化戦略が機能するためには、技術的な難解さがあり、たとえその難解な技術を特許でガチガチに固めたとしても、かつてのプリンターのキヤノンのようにうまく間を縫ってシェアを奪っていく企業がでてきたりして、なかなか長い間うまくいくのは難しいと思われます。
パンローリングさんの著書にはほとんどなかった経営戦略的な本です。経営戦略に関する事項が網羅的に書かれていますので、ビジネスマンや、企業のファンダメンタル分析をしたい投資家等にいろいろな示唆を与えてくれる良書であります。
bblue 50代 自営業兼投資家
本書はウィザードブックシリーズの一冊なのだが、タイトルからすると、何か一般的なビジネス本的な印象を受ける。
実際、この内容もP&G社の具体的な事業戦略について、実際の商品を例にとって詳細かつ具体的に解説した内容になっている。 そうした意味ではまさに「ビジネス本」そのものである。
海外企業というと、どうも具体的にイメージがしにくく、翻訳物であることの隔靴掻痒感もあって、具体的に理解をすすめることが難しいこと もあるが、本書は日本でも事業展開をしているP&G社のヘアケア製品であり、書かれている内容もとらえやすい。
事業戦略については、目標、戦場、戦法、強み、システム等についてその全体像も示しながら具体的に解説がなされている。
ただ、このP&Gの事業戦略の解説について理解しただけでは、直接自分自身の投資にこれを生かすことは難しい。しかし、ここに示されている事業戦略は個別の具体事例でありながら相応に普遍性をもったものとも考えられる。この具体例から、これを自分が投資対象としている企業にあてはめて考え直してみると、その戦略や強み、また課題などが見えてきて、より深く自分自身の投資対象を理解することにつながるかもしれない。
投資対象としている企業の有価証券報告書や決算短信、決算解説資料等を用意して、その作業をしてみようと思った。こうした意味ではやはり本書は「ウィザードブック」シリーズとしてふさわしいとも言える。なかなか興味深い一冊だった。
ふしみん 60代 個人投資家
鳳凰堂のランダムウォーカー
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