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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/06/25 11:01, 提供元: フィスコ ウェーブロックHD Research Memo(1):マテリアルソリューション事業の収益構造改革が着実に進展*11:01JST ウェーブロックHD Research Memo(1):マテリアルソリューション事業の収益構造改革が着実に進展■要約 ウェーブロックホールディングス<7940>は、防虫網や農業用・建設資材用各種シートを手掛けるマテリアルソリューション事業と、金属調加飾フィルムを中心としたアドバンストテクノロジー事業を展開する樹脂加工メーカーである。環境関連ビジネスとして地中熱エネルギーシステムの育成にも取り組んでいる。2023年6月には既存事業の基盤強化を目的に、同業のアァルピィ東プラ(株)(以下、RP東プラ)の株式の20.32%を取得し、持分法適用関連会社とした。 1. 2025年3月期の業績概要 2025年3月期の連結業績は、売上高で前期比8.5%増の25,566百万円、営業利益で同4.6%増の405百万円とほぼ計画(売上高25,500百万円、営業利益420百万円)どおりに着地した。売上高は成長分野である自動車向け金属調加飾フィルムの拡大に加えて、マテリアルソリューション事業における原材料価格上昇分の売価転嫁が進んだこと、食品用包材の販売数量が増加したことなどが増収要因となった。利益面では、原材料価格の上昇や期初原価改定差益減少の影響を金属調加飾フィルムの増収効果や間接コストの削減でカバーし増益となった。 2. 2026年3月期の業績見通し 2026年3月期の連結業績は売上高で前期比3.7%増の26,500百万円、営業利益で同109.6%増の850百万円の見通しである。売上高はマテリアルソリューション事業、アドバンストテクノロジー事業ともに増収を見込んでいる。営業利益には、退職給付債務の再計算による283百万円の一時的な増益要因も含まれているが、同要因を除いても39.8%増益となり、営業利益率は上昇する見込みだ。金属調加飾フィルムの成長に加えて、マテリアルソリューション事業も前期から本格的に着手した低成長・低収益分野の整理を進めたことも、収益力が向上したことが要因だ。ただ、2025年3月期からスタートした中期経営計画で掲げた目標に対しては、売上高で500百万円下方修正している(営業利益は退職給付債務の再計算による増益が発生することで当初計画を維持)。金属調加飾フィルムの売上が欧米EV市場の変調により当初想定よりも成長スピードが鈍化する見込みのためだ。なお、米国の関税政策による業績への影響については、合理的に算定することが困難なため織り込んでいない。 3. 中期経営計画の進捗状況 2025年3月期よりスタートした中期経営計画において、同社は最終年度となる2027年3月期に売上高29,500百万円(年率7.8%成長)、営業利益1,300百万円(同49.6%成長)、ROE6.3%を目標に掲げた。金属調加飾フィルム関連の売上高が2024年3月期の約32億円から3年後に約2倍に急拡大することで、アドバンストテクノロジー事業の営業利益を同41百万円から700百万円に伸ばす計画となっている。ただ、米国の関税政策によって自動車市場の先行き不透明感が強まっており、金属調加飾フィルムの成長が一時的に鈍化する可能性がある。一方で、マテリアルソリューション事業については収益構造改革の効果で今後、収益性向上が見込まれる。また、新規事業として立ち上げた地中熱システムも省エネソリューションとして認知度が高まっており、売上高は2025年3月期の229百万円から2026年3月期は1.9倍増の435百万円を見込んでいる。国の補助金政策が継続するようであれば、一段の売上拡大も期待できるだけに今後の展開が注目される。なお、株主還元方針は連結配当性向35%以上を目安に、安定的な配当を維持することとしており、2026年3月期の1株当たり配当金は前期と同額の30.0円(配当性向43.7%)を予定している。 ■Key Points ・2025年3月期は金属調加飾フィルムの成長により増収増益 ・2026年3月期は退職給付債務関連の増益効果を除いても、営業利益で2ケタ増益見通し ・収益構造改革によりマテリアルソリューション事業の利益率改善が進む見通し (執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲) 《HN》 記事一覧 |