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フィスコ投資ニュース配信日時: 2025/03/06 14:01, 提供元: フィスコ ジーデップアドバンス Research Memo(1):NVIDIA最上位パートナー*14:01JST ジーデップアドバンス Research Memo(1):NVIDIA最上位パートナー■要約 ジーデップ・アドバンス<5885>は、「Advance with you 世界を前進させよう」をミッションに掲げ、主にAIを対象としたシステムインキュベーション事業を行う企業である。システムインキュベーション事業とは、主にAIやビジュアライゼーションやビッグデータを取り扱う研究者や開発者のシステム環境上の課題に対して、最先端テクノロジーを用いたサーバー機や同社オリジナルソリューションなどを提供することにより、今までとは違ったアプローチで研究や開発のスピードアップを支援するサービスである。代表取締役社長の飯野匡道(いいのただみち)氏が、2007年に米国ネバダ州で開催されたSupercomputing ConferenceでNVIDIA Corporation 1. 事業内容 同社の事業は「システムインキュベーション事業」の単一セグメントだが、「DXサービス」及び「Service & Support」の2つのサービスを提供している。主力の「DXサービス」では、AIソリューションサービスで、AIサービスを開発・運用する顧客を対象として、Deep learningを用いたAIの開発や運用に適した仕様のハードウェア、ソフトウェア、ツールを組み合わせたターンキーシステム(電源を入れたらすぐに使えるシステム)を開発・組立・販売する。またビジュアライズソリューションサービスでは、映像や画像を用いるコンピュータ処理を行う顧客を対象として、CADやCAE、コンピュータグラフィックスの制作やデジタルサイネージで利用するグラフィックワークステーションの組立・販売などを行う。このサービスは売上構成比の91.9%(2024年5月期)を占める。「Service & Support」は、同社が提供するソリューション(ハードウェア、ソフトウェア、構築ノウハウ)に対して、ハードウェアの保守だけではなく継続的な環境のアップデートを通して、常に最新で安定したシステムとして利用するためのオプショナル運用支援サービスを提供する。当サービスの売上構成比は、8.1%(同)である。 同社は、NVIDIAをはじめとするグローバルプロセッサメーカー4社から認定された高い技術力、とグローバルITベンダーとの連携から生まれる企画力・製品調達力が源泉となり、高い競争優位性を築いている。強み・特徴としては、1) 最新テクノロジーと独自のギミックを組み合わせた最適解の提案、2) ソリューション提供形態の多様性、3) Service & Supportによる顧客継続性、4) スモールマス展開を見据えた案件対応、5) 他社との差別化を実現する独自のポジショニング、がある。 2. 業績動向 2025年5月期中間期の業績は、売上高が前年同期比111.8%増の3,995百万円、営業利益が同90.6%増の498百万円と、大幅な増収増益となった。売上高は、大規模言語モデル(LLM:Large Language Models)を含む生成AIの設備投資需要の高まりに加えて、前期受注した大型案件が第2四半期中に完了したことより、前年同期比で111.8%増と倍増以上の伸びとなった。大規模案件は、国策であるクラウドプログラムに関連したクラウドベンダー向けの大規模なGPU(Graphics Processing Unit)クラウド案件であり、同社の上位レイヤーでの対応力を示す実績となった。大型案件の影響で売上総利益率は4.6ポイント減の17.9%となったが、粗利率の低下は想定どおりである。販管費は、人件費や減価償却費などの増加により金額ベースでは増加したものの、販管費率では増収効果により3.3ポイント減の5.4%となった。結果として、営業利益は同90.6%増と大幅増益となった。財務状況では、自己資本比率は58.9%と高い水準であり、無借金経営により安全性の高い財務体質を維持している。 3. 今後の見通し 2025年5月期の業績については、売上高で前期比30.5%増の5,770百万円、営業利益で同1.9%増の675百万円を予想する。進行期は成長市場において積極的な先行投資を行う戦略であり、売上高の成長性は高いが各利益は抑制される計画である。売上高については、前期に引き続き高い需要が予想され、案件規模の大型化も進行していることから前期比30.5%増と高い成長率を見込む。さらなる成長のためにソリューションのポートフォリオを拡充し、より上位レイヤーのソリューションラインナップを準備していくとともに、パートナーエコシステムの増強に力を入れる戦略である。案件規模の大型化の影響などにより売上総利益率は低下する見込みである。これらの要因から、営業利益は微増・横ばいの計画となる(前期比1.9%増)。通期の業績高予想に対する中間期進捗率は売上高で69.2%(前年同期は42.7%)、営業利益で73.9%(前年同期は39.5%)であり、いずれも進捗は前年を上回る。弊社では、進行期は生成AI関連の需要増や補助金など市場の追い風を背景に受注は好調であり、トップラインの高成長は確実性が高いと考えている。NVIDIAの次世代新製品(新たなGPUアーキテクチャ「Blackwell」を搭載した新製品)も2025年初頭から順次出荷される見込みである。下半期は、将来に向けて社内体制の整備(人材・設備など)にしっかり投資できるかに注目していきたい。 4. 成長戦略・トピックス 成長戦略として、3つの重点施策を推進する。 1) 上位レイヤーソリューションへの移行と環境整備 デスクサイドのAIワークステーションから、大規模なGPUクラウドまで、商品・サービスのポートフォリオを上位レイヤーへ拡充し、大規模AIのユーザーニーズにタイムリーに対応し確実なアップセルを促進する。 2) 大規模AI時代に合わせたエコシステムの増強 国内SIerとの協業及びクラウドベンダーやデータセンターと提携、NVIDIAと関係が深いOEMベンダー、ストレージベンダー、ソフトウェアベンダーとのパートナーネットワーク強化などにより、製品調達力とオリジナリティのある大規模システムの構築を可能にする。 3) AIリソースの総合ベンダーとしてハイブリッド化を促進 オンプレミスからプライベートクラウド、パブリック大規模システムまで、すべての環境をシームレスに移行し、AI開発のスピードアップを支援するAIリソースの総合ベンダーを目指す。 5. 株主還元策 同社は成長に応じた株主への安定的な利益還元を経営上の最重要課題の1つと位置付けており、業績の見通しや必要な設備投資などを総合的に勘案したうえで、毎期配当性向を引き上げていく方針としている。過去3年間においては毎年増配するとともに、配当性向20%前後を維持してきた。また同社は、株式の流動性の向上と投資家層の拡大を目的に、2024年12月1日を基準日として、普通株式1株につき4株の割合で株式分割を実施した。2024年5月期末の配当金は年67.00円(株式分割後換算16.75円)、配当性向は20.4%だった。2025年5月期は、配当金で年17.50円、配当性向21.1%を予想する。弊社では、継続的な利益成長とともに、将来的には配当性向の上昇により、高い増配ペースが期待できると考えている。 ■Key Points ・NVIDIA最上位パートナー。AI開発向けに最先端テクノロジーを組み合わせたソリューションを提供 ・2025年5月期中間期は、生成AI関連の設備投資需要増に加えクラウドベンダー向け大型案件の完了などにより大幅増収増益 ・2025年5月期は、前期比30%超の増収、10年連続の各利益の増益を予想。中間期進捗率は約70%。将来を見据え人材・設備への先行投資を実行中 ・中期経営計画最終年度(2027年5月期)に営業利益10億円を目指す。新製品「NVIDIA DGX B200」が2025年初頭から順次出荷予定 ・利益成長と配当性向の上昇により、高い増配ペースが期待できる。2025年5月期の配当金は17.50円、配当性向21.1%予想。株式分割を実施 (執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫) 《HN》 記事一覧 |